第12話

「母さん!!」




長身の俺とは違い、平均身長の次男が慌ててお母さんの体を抱き起こす。


揺さぶっても反応がないってことは、これはもうなにをしても無駄だ。




「かっ、母さん……」




顔面蒼白になった次男が、大きく目を見開いてお母さんを見つめる。


その反応がややオーバーな気がするが、母さんが失神するのは日常茶飯時だ。


残りの梅干しが二個なはずなのに一個だった時も、簡単に失神する。




次男は気を失った母さんを抱き締めて、嗚咽を漏らす。


不謹慎だが、その様子は母を亡くした息子のようにも見えるからやめとけ。




俺はそんな次男を呆れた目で見ると、玄関へ向かった。


あの姉貴が無言で出ていくわけがない。きっと何かあったんだ。


それなら、ポストを見たほうがいい。

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