第2話
恐怖を抱く対象は、イケメンや禁断の相手じゃないし、設定は現実場馴れしたファンタジー世界や、科学が進んだ近未来でもない。
幽霊、呪い、ストーカー…ざっとこんなんもんさ。
それ以外は現実味がなくて読者受けしないし、担当が真顔でボツを言い渡してくる。
小説家、と言えば聞こえはいいし、普通の人なら感嘆の息と尊敬の視線を向けてくれるが、そんなものは売れている作家に向けるものだ。
考えてもみてくれ。
本屋に行けば本なんて腐るほど売ってある。
君は大きな本屋の片隅、存在感すら失笑ものな本の著者を凄いと言えるかい?
初めて賞を取って、担当がついて、所謂仕事部屋を与えられた時は、期待と希望で胸が膨らんださ。
あ、僕は男だから本当に膨らんだわけじゃないよ。
奮発して当時一番新しかったパソコンを買ってさ、無駄に仕事の環境を良くしてお金も景気良く使って。
今じゃそのお金の一枚がとても貴重で使いたくても足りないってのに。
出した本は三冊。
処女作品は、あまり売れなかった。まあ、初めてだし、仕方無いなって思ったんだけど、もう三冊目で悟った。
ああ、面白くないから売れないんだなって。
可笑しいよね。僕自身はこの作品はヒットだ!傑作だ売れるぞ!って思って書いているのに、
いざ印刷されて出版されて数字を見ると、そんな自信は風船から空気を抜いたみたいに萎んでいく。
なぜ売れない?……面白くないから。
簡単すぎて欠伸が出る。なのにその事実で僕は涙を流す。
一度本屋へ行き、売れているホラー小説を読んでみた。参考というか、違いを見付けるために。
そして僕は憤慨した。
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