最終章 新しい命の兆し (最終章)

すべてが静まり、星々が優しく輝く中で、レオンとエリスは並んで座っていた。過去の戦いと葛藤を乗り越えた先に、二人が感じるのは、ただ新しい命の兆しだけではなく、深い平和と、創造の力が満ち溢れる空間だった。だが、彼らの心の中には、最後の問いが残っていた。


「名前を読んではいけないもの…あれが何だったのか、ずっと気になっている。」エリスは静かに呟いた。


レオンは少し黙り、遠くを見つめた。「私もだ。過去を超えて、あの存在が何を意味していたのか知りたくなった。」


その瞬間、二人の心が共鳴し、何かが一気に動き出すような感覚に包まれた。記憶が一瞬、闇に溶け込み、二人は過去の自分たちを忘れるという奇妙な感覚を覚えた。それは恐怖ではなく、むしろ心地よい解放感のようだった。すべての記憶を消して、新たに創り出すことができるという力強い衝動が二人の中に湧き上がった。


「全てを創り直す。」エリスはその言葉をつぶやき、レオンはゆっくりと頷いた。


「そうだ。過去を忘れ、すべてをゼロから創りたい。」


その思いが一致したその時、二人の目の前に広がっていた宇宙が次第に歪み、破壊と創造が同時に起こる瞬間のような感覚が広がった。彼らは過去を手放し、無限の可能性が広がる世界に身を委ねた。もはや何も縛るものはなく、二人の意志のままに新しい現実が創造される瞬間だった。


そして、二人はそのまま、破壊と創造の二つが並立する異なる地球に降り立った。そこには、かつての世界の断片が残りながらも、全く新しい世界が形作られつつあった。レオンとエリスは、自分たちが今どこにいるのかを知ることなく、静かに歩み始めた。


記憶がないため、彼らは過去を思い出すことはなかった。ただ、目の前に広がる新しい地球を創り続けるだけだった。お互いに笑顔を交わしながら、無心で手を取り合い、新しい命を育んでいった。


その世界では、すべてが可能であり、すべてが新たに生まれ変わる。そして、彼らの周りには暖かな光が包み込み、どこか優しい未来が待っているような気配が漂っていた。過去の痛みも、恐れも、何もかもが溶けていき、ただ今、ここに存在することだけが大切な意味を持っている。


そして、二人はその新しい世界を見守りながら、ゆっくりとその旅路を歩み続けた。最終的に、彼らは何も思い出すことはなく、ただひたすらに創造し続けた。それが新しい命の兆しとなり、星々に新たな輝きを与えていった。


そして、この物語の終わる。

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星創る神話 @ashika1124

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