その世界にタオルはあるのか!?
異世界タオル問題です。
……何だそれ?
つまりですね、「異世界ファンタジー」に「タオル」を登場させるかどうか問題です。
いわゆる私たちが日常で使っているパイルのタオルの登場は、1800年代だそうです。
しかも一般に広く使用されるのは、織り機が機械化されてから。
剣と弓矢の世界観には、どうにも相性が悪いと私は思うのです。
いやいや、古来からお風呂上がりに身体を拭くのに、リネンの布など使っていましたよ。
それを「タオル」と表現してもさしつかえ無いでしょう。
そうなんですけど。
どうしても「タオル」と文字で書いてしまうと、あのいつも使っているやつを思い出してしまいませんか?
そうすると、どうも引っかかるといいますか……
「うちの異世界にはタオルあるんです!」……って、言い切れればそれも良しと思うんです。
または、現代から転生転移した登場人物が、「これタオルだね」とか言ってくれればそれも良い。
でも、「転生転移がかかわらない異世界もの」だと、やっぱりちょっと考えてしまう。
他の方の「異世界もの」を読んで「タオル」という表現があっても、別段気にならないのですが……。
かと言って、他の表現があるかと言うと、これがあまり無い訳で。
「手ぬぐい」だと日本みが激しいですし、「湯上がり」なんて書いても、今の若い方に伝わらないと思うし。
あ、「湯上がり」っていうのはね、ガーゼでできたバスタオルみたいなものでね……って、すでに解説しているし。
なので矢芝は、ただ「布」とか「拭きとるための布」とか書くんですけど、これもまぁどうなのかな……と、思いつつ。
できればあまり描写したくない物だったりしますね(笑)
拙作、「貴石のジェマ」で、ジェマの一族は頭に布を巻いているのですが、これをどう表現するかも悩みました。
頭に巻く布だったら「ターバン」なのですが、「ターバン」としてしまうと、どうしてもインドのイメージが強くなってしまうように思えて、それが嫌で、「
「ストール」は「肩掛け」という意味でもあるのでそぐわないのですが、その時は「ストール」の方が形態が伝わりやすいかな、と思ったんです。
ターバン=インド というのは安直かもしれませんが、書いたのは架空の一族であるため、強いイメージを持つ言葉は使いたくなかったんです。
暮らしぶりも住んでいる場所も、南アジアとは違うので。
異世界もの、つまり架空の世界を書く時に、文字だけで作者が持つイメージに近づけるのはとても難しいです。
まして転生、転移ものでは無く、その架空の世界の中だけで、すべてを表現しなければならない時は、品物ひとつひとつが、その世界を構築するものになってしまうから、やはり気を使います。
とはいえ、あまりに専門的な言葉だったり、婉曲な表現でも、読者に伝わらなければ意味がありません。
難しいな、と思います。
なので矢芝は今日も問います。
「その世界に、タオルはあるのか!?」
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