月に兎がいる理由 ~TSUKUYOMINOMIKOTO~
そこは、
「また、
「ち、違うし? 君たち俺のこと…」
反論するツクヨに、
「「「夜の
執務室の女神たちは異口同音。なにがシツコイかの言及は、ここでは避けさせていただこう。
「これは違うのぉッ!」
「
数少ない男性陣のひとりコンスが、冷ややかな軽口を叩く。十代
「なにをだよぉ?」
「
畳み掛けるコンスに、
「イダダダッ! ぼ、
ツクヨは
「
忌々しげにケッと吐き捨て、ツクヨは
「
長官席に腰をおろすと不機嫌そうに促した。
☆ ★ ☆ ★ ☆
まだ、スサが顕現しきる前のこと。
「おまえ、また泣いてんのかよ?」
「うちのツッくん泣かせてんじゃねえッ!」
叫ぶや否や、少女は
「泣いてっから、気にかけてやってんだよバカテラスオトコ女ッ!」
「アマテラスだ。このカマ
うん。
「あ、あれは、おまえが泣いてっから、姉貴の服着て笑わせてやったんだろうが?」
理由があるようだ。
「泣いてないッ! ツッくん。お姉ちゃん泣いてないからね?」
ここで、
「「いっ痛ぁ~いッ!」」
ふたりの頭に
「ケンカしちゃダメだよ」
通りすがりの
「すまないな
このために呼び出した
「ツクヨさま。また恐い夢ですかな?」
少し心配そうな声音に尋ねた。ツクヨはコクンと
「おおきなみずたまりしかないところで、じっとしてるんだ」
たどたどしく、ツクヨは口を開く。五歳前後と言った容姿か。
「あたしとおなじだ…」
ポソリとテラス。
「つか、おまえ、なんでヌイグルミなんか
オーゲツは、ふと気づいたことを尋ねる。ツクヨは泣き虫
「目がさめたら、なんかもってた…」
うん。ちょっとした
「いいですか。テラスさま、ツクヨさま。夢は夢です。間違っても、大海原にある、
釘を刺す。ふたりの育て親である、次兄のカグチが、大海原に居るヒルコの長兄の話を漏らしたからだ。近づけぬよう封印も施したし、子供では到達できないだろうが。
ここで、オーゲツ、テラス。
「「はぁ~い」」
よい子のお返事、悪い笑み。
「うん」
ツクヨがコクンと
「よろしい」
★ ☆ ★ ☆ ★
案の定に、
「どうしてこうなった?」
姉とオーゲツに連れられ大海原。ツクヨは
「おいゴリ。おまえ空中蹴れるか?」
「え、なに言ってんのおまえ?」
不思議を呟くテラスにオーゲツはキョトン。そこでテラス、ピョンと跳び、空を蹴って方向転換。華麗に着地、ドヤァっとし、
「なんだ二段跳びかよ…」
オーゲツもピョンと跳んで、空を蹴り、二度ほども方向を変え、更には一段高くまで跳ね、ドスンと着地。ドヤァを返して、テラスをグヌヌとさせた。
――
変化した
「お、おい…この
テラスの肩の上にオーゲツは仁王立ち。
「おまえ空中二段跳び、できねえじゃん」
シレッと
両の掌にオーゲツの足を乗せると、そのまま屈伸。からの全身の
「「行くよツッくん!」」
ふたりは、ツクヨの有無を問わずに、ヒョイっと抱え、
「どこにだよ…」
幼いツクヨは、
「「
――もうヤだ。この
ここでツクヨの
投げ飛ばされた先に
「「そ、その手があったか…」」
呆れた言葉に、吐息をひとつ。
「
「「「いっ痛ぁ~い!」」」
三人の頭上に
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
再び
「ふぅ~ん。昔から可愛げなかったのね
執務室で昔話を聞き終えたルナは辛辣。
「ルナくん…す、少しは
ツクヨはクスン。ルナには頭が上がらない。その故は?
「あの子は、元気にしてましたか?」
「
「あら
ルナ、どこまでもすげない。
「カトリのことは、仕方ないと思う…」
ツクヨは小声でポソリ。カトリとは?
「別にそこは怒ってません。あの
どうやら、ふたりは夫婦のようだ。カトリは娘のようである。
「まったく
隔世遺伝とは、祖父母の
「しかも、また受入れちゃって。
また
「チャースッ!
「ミイです。トコシヨとの折衝役は、すべてミイが承ります。
「く、クマノさまに頼まれたら、こ、断れないって…」
ツクヨはオヨヨ。
「これで
「いや、仕方なくない? 昼に
ツクヨの
「いいですか、ふたりとも、
あんまりなルナの宣言に退けられる。
「ジャンル孫に手ぇ出すかッ!」
ウガァと噛みつくツクヨにふたりは、
「「ウッス。ルナ
トドメ。ツクヨは、机に突っ伏しオヨヨとした。
さて、隔世遺伝のカヅチとやらは?
☆ ★ ☆ ★ ☆
「
「
ごねるハラシコの尻に、イワノが
「いッ
ハラシコはオヤクソク。
「それ初めからよ」
カワノは呆れて指摘、
「マジで? 見してみ?」
切り返すハラシコの尻を、
「いッ
ヤチホコ、
「ホウとミナも居るんですからね。悪影響が出るようなら、
カワノ。
「ちぇ~。わかったよぉ~」
ハラシコは、口をすぼめて
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