第7話 僕の思いは
静寂に包まれる教室。皆が真剣な面持ちで机に向かっている。
そう、今日から中間テスト本番。高校生活初めてのテストである為皆緊張している。テストは3日間に分けられて行われる為長期戦になる。そしてもうすぐ最初のテストが始まる。留年というものが存在する高校、テストへの取り組み方は皆中学の時とは全く違うだろう。
始まりの鐘が鳴る。
ここから俺の戦いが始まる。
そう心の中で譚歌を切った2日前が遠い。俺は今最後のテストを行っている。最後は英語、あの意味があったのか、なかったのかよく分からない英語だ。まぁ筆記は意味があっただろう。だがリスニングはあの1回しか練習をしていない、つまり自信が1ミリもない。あぁ、俺はこのまま低い点数を取るのだろうと心の中で絶望しながら英語のテストを終えた。
そうして高校最初のテストを全て終えた訳だ。テスト中は緊張しまくっていたが終わってしまえば緊張なんて無かったものの様に思える。
「神崎!テストどうだった!」
西田が声を掛けてきた
「まぁボチボチかな、流石に全部平均点は超えてると思いたい」
「お〜流石!テスト期間毎日勉強してたもんな〜」
「西田はどうなんだよ、出来たのか?」
こいつも友達と勉強するわ!とか何とか言っていたから恐らく自信はある方だろう
「いや〜全然解けなかった!」
笑いながら西田はそう言った。
「え?友達と勉強するとか毎日言ってただろ?」
「それがさ、そりゃ友達と会って最初の方は勉強するんだけど疲れて来て、カラオケとか行っちゃってた」
その顔辞めろ、テヘペロみたいな顔。あれは可愛い女の子がやるから意味がある。お前がやっても需要は無い。まぁ友達が多いやつはそうなんだろうなと少し納得はした
「神崎はあれだよな?坪内さんとかと勉強してたんだろ?」
「まぁそうだけど」
こいつよく知ってるな、俺のストーカーなのか
「良いな〜坪内さんって可愛いし運動出来るし完璧だよね」
完璧?こいつは何を言っている。あんな危機管理能力の無い女が完璧な訳無いだろう。
「坪内さんとどうやって仲良くなったんだよ、教えてくれよ」
そう言われても困る。告白を見てしまってから仲良いとは言えない。
「なんか、流れでみたいな?」
「うわ〜それ羨まし〜」
こいつはこんな適当な返しで納得するのかよ。まぁいい、俺はこのまま帰ってゲームがしたい。
「俺はもう帰るから、じゃあな西田」
「おう!お疲れ!」
そう言って俺はクラスから出た。だがクラスから出て数歩で俺は呼び止められた。
「神崎くん!ちょっと良い〜?」
坪内だ、しかも今日は取り巻きが全部居る。
「なんですか?」
「これからテストお疲れ会的なのやるんだけど神崎くんも来ない?」
太田がそう俺に伝えた。
いや何で俺なんだ、明らかに部外者だろう。俺含めずに4人でやれば良いだろう!
「いやなんで俺なんですか、絶対関係無いじゃないですか」
「いやいや〜私と華は勉強教えて貰ったしさ!」
坪内がそう言った時太田も頷いた。
「でも他の2人とは面識無いですし、」
残りの2人が嫌がる事を望みそっちに話題を振ってみる
「いや〜?別に全然嫌じゃないよ?なんなら興味あるし〜」
「私も私も〜」
終わった、こんな陽キャ女子に囲まれて遊ぶのか、この俺が。
「ちなみにどこ行くんですか、?」
「うーん、カラオケとかかな?」
「こういう時はカラオケだよ〜、人目気にならないしね〜」
人目が気にならない?馬鹿言え。俺はお前らの視線が気になるわ!とはいえカラオケと言うワードで4人はテンションが上がってしまったらしい。ここでもし俺が断れば
「ノリ悪」
「わざわざお前を誘ってやってるのに断るとか論外」
なんて事を言われかねない。つまり俺に拒否権は無い。
「お、俺で良ければ付き合いますよ、、」
「よし!じゃあ行くか!」
こうして俺は陽キャ女子4人に連れられてカラオケに来た。
「皆何歌う?」
「うーん、やっぱりK-POPでしょ!」
そう言って佐々木は曲を入れた。俺がK-POPなんて知ってる訳もなくよく分からない曲ばかりを聞かされた。そして俺が恐れてた自体が起きた
「神崎くんは何歌う〜?」
そう、俺が歌う事になったのだ。俺は1度もカラオケなんて来たことがない。そりゃそうだろう、友達が居ないのにカラオケに来る理由が無い!ヒトカラとか行く事あるだろって思うやつも居るだろう。
残念、本物の陰キャは店員の目を気にしすぎて入れないのだ!まぁとは言え何か歌わないとだ、
「じゃあRAD〇IMPSのやつならなんでも」
俺の唯一歌える歌手はこれだけだ。
そんな事があったりして時間が流れて行った。時間も時間だもうすぐ解散と言う空気感になってきた。ようやくか、そう思い安心した。
「じゃあ解散としますか!」
太田がそう言うと皆カラオケから出て店の外に出た。
「じゃあまた明日学校でね!」
その言葉を合図に皆帰路へ着いた。そう思っていた
「ねぇ神崎くん」
後ろから声がした。誰だと思い振り返るとそこには増田佳恋が居た。
「ちょっと話したい事があるからまだ時間いいかな?」
終わった、俺はどうやらここで吊し上げられるらしい。逃げ出したいがそんなことはもちろん出来ず
「は、はい、、」
返事をした後俺は増田に付いて行きカフェへ入った。
「私はアイスカフェラテで、神崎くんは?」
「あ、じゃあアイスココアで」
「ココアって小学生かよ」
なんかバカにされたな、鼻で笑いやがって!と思ったが俺はコーヒーとか一切飲めないのでしょんぼりするしかない。ここで俺は切り出す
「そ、それで話って何、?」
「あ〜そうそう!」
増田は思い出したかのように話し始める。
「ぶっちゃけて欲しいんだけど、君坪内の事好き?」
俺は理解出来ずに一瞬フリーズした。俺が坪内の事が好き?いや、そんな訳は無い。ただ優しくされただけで俺が好きになったとでも言うのか?馬鹿言えそんな訳無いだろ
「いいや?別に好きではない。ただ好意的に接しられてるからそれに応えてるだけであって」
「そっか〜好きではないのか」
いやなんでそんな事聞いてきたんだ。まぁなんとなく想像は付く、恐らく俺が坪内の事を好きだと分かればそれは分不相応で坪内が迷惑だから辞めろと言う忠告をしようとしたのだろう。
「あぁそうだ、別に好きじゃない!」
「ふ〜ん、そうなんだね、まぁそれが聞ければなんでもいいや」
増田は不敵な笑みをしながらそう言った。ただこの先話す事が見つからない。早く飲んで早く帰ろう。
「ご馳走様、俺は先帰るから」
そう言って俺は伝票を会計に持って行こうとする
「おい待てよ!私の分のお金!」
そう言って増田は金を渡そうとしてくる。
「いいよ別にこのくらい、今日誘ってもらったお礼的なやつだよ」
少し不貞腐れながら俺はそう言った。
「そうか、?ならご馳走になるけど」
これでチャラだ。この先もし(あの時カラオケ誘ってやったんだからお前これやれよ!)とか言うのは回避出来る。数百円でそれが回避出来るなら安いものだ。
「じゃあ俺は帰るから」
そう言い残し俺はそそくさと店を出た。
流石に緊張した。あんなに陽キャ成分を摂取すると少し倒れそうになる。ただ一難は去った。一難去ってまた一難とはよく言うがそれは勘弁して欲しい。このまま俺は平穏な生活を送りたい。
まぁでも悪くない経験だっただろう。でも明日からまた普通の生活を送ろうでは無いか
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます