前半の理不尽さと後半のやるせなさが読み手の感情を揺さぶる作品です。主人公の乱暴なもの言いとは裏腹に、その真っ直ぐな性分と面倒見の良さが物語を温かいものに仕上げています。終盤の駆け上がりや心情の重ね方もすごく素敵だと感じました。読後の喪失感は勿論のこと、二人のやり取りから心の影が覗く描写が特に印象深く残りました。人情や儚さを描く作品が好きな方にぜひ読んで欲しい作品です。