第2話

 「ねえ、そろそろお家、連れてってよ。」


 「だから家はダメだって。」


 「え? カノジョ居るとか???」


 「んなこともねーよ!」


 きみが高校生になって、オレらはこうやって、外で会うようになった。もう「先生と生徒」ではない。かと言って「彼氏と彼女」になっていいとも思っていない。ただ、強引に誘ってくるきみのことを、超絶ヒマなオレはこばまなかった。それだけのこと。


 「じゃあ、ホテルは?」


 「は!? 行けるわけないだろ!」


 「えー。なんで?」


 「誰かに見られたらどうすんだよ。」


 卒業生と食事に行く、というのはまあある話。でも行き先がホテルとなると、目的はどうあれ、実際がどうであれ、いかがわしいことを思わせる。


 「じゃあ、ここならどう?」


 きみが提案したのは少し離れた街のホテルだった。

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