公爵家令嬢……のメイド
私が小さな赤子として生まれてから17年が過ぎた。
その17年の間に私は知った事がいくつもある。
この世界は以前私が生活していた世界とは違う世界で所謂異世界と言うもの。そして魔力が多く魔獣が住んでいること等。
因みに何故かは分からないが私の顔は以前の世界と同じだった。
そして私が今暮らしているのは堅牢な屋敷によく整備された庭がある、まるでお城のような場所だった。
そう…。私はこの世界ではなんと公爵家の子息として生活……………では無く公爵家のメイドとして仕えている。
まったく何故私は転生をしてもメイドをしているのか…。
まぁお給料もいいし福利厚生も組織と比べて充実している。
「ねぇ~!ちょっとこっち来てよ〜!!」
早速お嬢様からのお呼び出しだ。
「はい、お嬢様今参ります」
生憎様私はメイドとして仕事は人並み以上にこなせるのでこうしてお嬢様からお呼び出しを喰らうことも多々あるのだ。
「もぉ!遅いわよ!」
ピキッ
全く五月蝿いお嬢様だ。危うく殺しかけた所だ
私がこうして貴女に大人しく従う義務は無いというのに…。
「申し訳御座いません。所で何か御用だったのではありませんか?」
「そうね。実は貴女に頼みたいことがあるのよ」
頼み事とは面倒臭い、何故私に頼むというのか。
報酬でも出してくれたらやってもいいのだが…。
まぁこのお嬢様が出すわけ無いか。
「私の頼みを叶えてくれたら臨時収入を出してあげるわ!」
「何なりとお申し付け下さい。この命に変えてでもお嬢様の願いを叶えさせて頂きます」
別にお金が好きとかでは無いですが!
本当にそんなんじゃ無いですが!
私は一体誰に弁明をしているのか。
「貴女ならそう言ってくれると思ったわ!まぁ無理やりにでもやらせるんだけど…。」
恐ろしい子!それよりも私に頼みたいと言うのは何なのだろう。
「私に頼みたい事というのはどの様なことでしょうか」
「ジャイアントベアの牙が欲しいの!ジャイアントベアの牙は幸運を引き寄せてくれるって話題なのよ!」
またこんな噂話に惑わされて…。
「お嬢様、お言葉ですがジャイアントベアの牙ならば取り寄せればよろしいのでは?」
何故私にこんな事を頼むのか全く分からない。公爵家ならばその莫大な財産でどこからでも取り寄せられる筈だ。
「アタシも初めは取り寄せてもらおうと思ってお父様にお願いしたんだけどそんな世迷言に金は出せないって一蹴されちゃったの」
当主様……。貴方が言うこともすごく分かるけど今回だけはお金を出して欲しかった。
「それで確かメイドの貴方は強いという事を思い出してね。お父様が駄目ならば貴女に取ってきて貰おうと思ったのよ!」
「なるほど…。分かりました。次の休みにでも取りに行くとします」
「うん!お願いね!」
そう言うとお嬢様は何処かへと行ってしまった。
本当は行きたくないがお金もでるし仕方がない…。それにこの強欲で怠惰なお嬢様は自分は何もしない癖に欲しいものが出来たら何が何でも手に入れないと気が済まないのだ。
「はぁ。行きたくない…」
私は1人そんなことを呟くのだった。
転生メイド 〜異世界に転生したのでメイドの傍ら魔物を狩ろうと思います〜 怠惰 @taida2434
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