第2話

 明日香との出会いは、婚活パーティーだった。

 男女二十名程がダイニングバーに集まって、一人一人と十分程度話をするというスタイルだった。年齢別、収入別など希望に応じたパーティーがあるようだが、貴也は年齢別のパーティーに参加した。自身は三十五歳であったが、二十代の相手を希望しており、容姿や性格などは、直接顔を合わせて話してみれば分かるだろう、と考えていた。

 二十七歳の会社員で、美人でスタイルが良く、性格も穏やかで品のある明日香は、恐らく一番人気だったはずだ。


 パーティーの翌日、貴也のもとに明日香からメールが届いた。


『もしよければ、今度食事に行きませんか?』


 連絡先は交換していたが、非の打ち所がない明日香は恐れ多く、自分から連絡するつもりは毛頭なかった。そんな明日香からまさか連絡がくるとは、夢にも思わなかったことだ。

 もしかすると、彼女は所謂サクラと呼ばれる人物で、自分は何か騙されるのではないか、との思いが一瞬貴也の頭を過ったが、もう一度会いたい、という思いのほうが勝った。日程はこちらに合わせてくれるということで、貴也は仕事が休みの土曜日に約束を取り付けた。

 仕事は土日が休みだったが、土曜日を希望したのは、貴也にほんの少しの下心があったからだ。


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