第10話 王妃様の思惑
「え、王妃様?でも傍系の結婚というだけの事じゃないの結局は?」自分で言ったけど、傍系て……。なんか言葉がわからないけど……彼女も意外そうな顔をしつつ、
「まあ、そうね……だけど……あのね。王太子様ともエミリーは親しいの」
「まあ、半年に一回とか多くても二ヶ月に一回ぐらいで、だいたい私達を含めた(兄も)同じメンバー(メインは王太子の友人……そこに、だいたい王弟がいる)で行動するから。でも、基本は視察という事にしてはいるけどね……確かに、エミリーは王太子様とお知り合いではあるわね。親しいと言えば親しいわ」
「それが、噂になっているの。彼女以前に、女性も男性も王族が特定の人や集団を贔屓したりしてはいけないのに、特に王弟殿下の立場では、目立ってはいけないのに。ああ、一応侍女とかでお仕えしているのは別よ」
「それはそうでしょう。人選で大もめするのも恒例。異国から来る王妃付きは特に大変」とついつい私は呟いてしまう。
それに対して、コンスタンスは睨んでくる。話が脱線しまくっていて全然進まない。早く終わりたいですよね。ついつい本題から離れてしまう。
「ごめんなさい、脱線したわ。ええと、そうね、確かに噂は怖いのに、迂闊だったわ。でも、王妃様もその視察はご存知で、王妃様もご同行なさる事もあるわ。なぜ、今更そんな話に……うーん、あ、そういえば、私、学園で何人かにエミリーと王太子について聞かれたの。多分無いでしょうって答えたの。あとはこの国の人間はどんな高位貴族でも王妃になれないのよ、とか言ったわ。そうね、噂が流れだしていたのね」
そういうとコンスタンスが、「本当に、迂闊ね」という、本当だわ……出どころ不明、真偽不明の噂でも知らなければいけないのに……
「それでね、王妃様はね、王太子妃を迎える前に、寵妃を持つことを一番恐れているの。王太子妃はあのシュタインの王女だしね。そういう噂段階でも全て潰しておきたいのだと思うわ。さすがに正妃を迎える前に愛人は貴族社会でもいろいろ言われるわ」
「女性側がね……可哀想とかクスクスとしかも、ご夫人方から……冊子もあって秘密を作れないのよね……周辺国までみんな知っている」ここで私はハッと我に返って
「え、寵妃……そこまでの話になってきたの?彼女がそれを目指すとは……」
「彼女がどうかではなくて、数年前に結構……じゃないわね本当に物凄く仲の悪い幼なじみのジャックとアン・マリーが結婚したじゃない」
「ああ、エミリーの因縁の相手であるマリン伯爵家とフォード伯爵家の結婚ね」
「あの二人が結婚したのって周りがそういう空気を作ったから、なんか囃し立てたりして、本気になっちゃったという感じでしょ」
まあね、「でも、両思いだったのは確実よね。ずっと」というと、コンスタンスは……
「それでも、自然にはそうならず、卒業後ではなくて、さっさと別の相手と婚約……お互い他の相手と……になっていたかもよ」
確かに。アンは結婚を貴族の義務と思って、誰かを好きになるのは時間の無駄と言っている。
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