第9話
蘭丸の居ぬ間に診察台を拝借しかけていたアイロンをそっと置くなり、
「シドさん…?」
ベッドへと近付いたあたしをぼんやりと眺めるパープルの瞳。
「気分、どうですか…?」
「…」
「お水、飲みます…?」
しばらくそうしていたかと思うとガバッと起き上がり、
背中に包帯が巻かれたまま素早くベッドを降りて歩きだそうとする姿はまるでターミネーターで。
「っ、ダメですよ!」
両腕を思い切り広げ、その恐ろしく機械的な進行を塞いだ。
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