■第十三章

第3話




…―――大切にしたくて仕方のないモノ程、何かの拍子に失ってしまうのが世の常だと、



改めて実感させられるにしては遠回しなやり方だと思った。







「…――ねぇRinko、そこ、誰か倒れてない?」




それはウィルを無理やりゴミだしに付き合わせ戻った早朝のこと。



玄関ホールに倒れこむ見慣れたスーツ姿の背中を発見してしまい、




「っ…え!?」




目を丸くしたあたしたちの頭上でカァカァと烏の大群が不吉に鳴いた。




「、シドさん!?」

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