カエル降る夏のはなし

ネジ回しあたま

夏の思い出

放課後、私と弟は良く近所の自然公園に遊びに行く。

「おねーちゃん、これ何ガエル?」

「それはフーセンガエルだよ」

私は弟に良い格好したくてなんとなしにデタラメを言った

「フーセンガエル?じゃあ触ったら膨らむの?」

困った…困ってしまった。だって全部デタラメだからだ

フーセンみたいに膨らむカエルなんて居るはず無い。

「空気を入れたらフーセンみたいに膨らむんだよ」

当たり前の事を何食わぬ顔で言ってみた。これで弟も詮索を辞めてくれるだろうと思った

「へぇ〜、じゃあおねーちゃん膨らませてみて!ぼく膨らむカエル見たいよ!」

「で、でも空気入れるものがないよ。また今度にしよう?」

「大丈夫!前、ぼくテレビでビニールをぐるぐる回して空気入れてるの見たから!」

そう得意げに言って弟はカエルを掴んだ

弟よ指の隙間からうごうごと生きる事を必死に尽くさんとして藻掻くカエルを見て私は顔を引き攣らせた。

「ぉぉおーーーー!!!」

弟が自分ごとカエルを勢いよく回す、

しまったと思ったが止めることは出来なかった。

カエルの粘液が服に飛び散ってひんやりと冷気を肌に伝える

カエルの目ん玉と舌が飛び出てこっちを向いてる様に見えた瞬間、

私は弟の手からカエルを思いっきり払い除けた。

べちゃ…と音を立ててコンクリの遊歩道にカエルが零れる。

「あー!折角膨らみかけてたのに!おねーちゃんのバカ!」

そう言い終わるか終わらないかと言う所で私は弟の手を引っ張って必死に逃げた、必死に逃げて、遂に家に辿り着いた。

愚痴を零す弟を他所に私は急いで弟の服にべっとりついたカエルの粘液を擦り付けた。

おわり

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