消えた影

Kei

消えた影

ある村にひとりの男がいた。いつものように畑作業に励んでおり、一息つこうとしたとき、ふと地面に自分の影がほとんど映っていないことに気づいた。日差しの強い昼間にもかかわらず、薄くかすれている。気のせいかと思い眺めていると、影はそのまま消えて無くなってしまった。


男は奇妙に思ったが、体はどこもおかしくない。

“不思議なこともあるものだ”


しかし影が消えてからというもの、村の人々が男に気づかなくなった。男が声をかけると驚いたような素振りを見せた。一緒に住む家族ですら、男の姿が見えていないように振舞うのであった。


そんなことが続いた数日後、男が川べりに座っていると、川面に映る自分の姿に重なるように雲が流れているのが見えた。驚き、咄嗟に水面に手を伸ばした瞬間、男の体はふっと消えてしまった。そして、男の存在を覚えている者は誰もいなくなった。奇妙なことに、村の台帳からも男の名前は消えていた。

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消えた影 Kei @Keitlyn

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