第7話
〈真琴side〉
はぁ…
静かになった部屋の中で俺は唄が出て行ったドアに向かって1つため息を吐いた。
「あいつ誤魔化しやがった…」
普段は考えてること分かりやすく顔に出るくせに肝心なことは一切顔に出さない。元だろうがそれが簡単に出来るあたり唄も筋金入りなんだろーな。俺も人のこと言えねーけど真っ当には生きて来てねーしな。
ちゃんと聞けばあいつは答えるだろうな、細かくは言わなくても。それをあえて聞かないあたり俺もビビってんだろうな…誰かの過去に踏み込むってのは並大抵の覚悟じゃできねぇから。
だから俺は唄がココに転校してきた理由も、経歴の資料すら見ようと思わない。
そりゃあ必要最低限の書類は見たから個人情報くらいは知っているが細かいことが記載されてる経歴関係の資料は未だに見れないでいる。
客観的に自分のことを見てみると薄々気づいてはいたが、俺教師向いて無さすぎだろ。
元ヤンの保険医とか聞いたことねーし意味解んねーし新手のギャグだろ。
「就く職業血迷いすぎだろ…。」
どれだけ言葉を発しても結局は綺麗ごとにしか聞こえない。それは俺が大人で教育者だからなんだろうな…。
あれはダメだ、これはいい何て説教はしたくない。
いいも悪いも常識の範疇以外のことに関しては人それぞれの物差しがあってそれを他人が口出ししていい問題じゃねーから。
ただ、衣食住と睡眠はしっかりしてほしい。
しっかり寝てしっかり食べて必要最低限のことをしてたら人間そう簡単にダメになねーから。
もっと言うなら直ぐ傍に守りたい“モノ”を作ってほしい。まあこれは俺の自己満だって言われたら言い返せねーけどあわよくば唄が素直に泣いて笑えて素で居れる場所を見つけてほしいんだよな…
あいつもきっと
ま、これから先何かあってその結果がどう転んだとしても
「唄にとって何か大切なことが経験できると思うぞ」
だからいろんなことにぶつかって、笑って、悩んで自分の答えを見つけろ
意地っ張り女
〈真琴side end〉
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