13
「どうだった?」
「いい飛行機だと思う。気に入った」飛行機から降りながらハラは言った。
ハラは整備長のくれた炭酸の入った缶飲料をごくごくと飲んだ。
「相手機にエースパイロットがいた。みんな死んじゃった。この子じゃなかったら、たぶん私も死んでたと思う」ハラは言った。
「こちらでも確認してる。向こう側のエースはエースの中のエースだよ。よかったなハラ。お前がこちら側のエースの中のエースとして向こう側から認められた証拠だ。おめでとう」
「ありがとう」とからっぽになった空き缶を遠くにあるごみ箱に投げて捨てながらハラは言った。
ハラは司令官から呼び出しを受けて司令官室に向かった。
たばこを吸っていた司令官はハラに「本日から三日間。休暇を与える。基地から外出してもいい」とハラに言った。
ハラは敬礼しながら司令官に「了解しました」といい自分の部屋に帰った。
からっぽのなんにももののない冷たい金属の壁の自分の部屋。
ハラはとても疲れていたので、なにも考えることのできないまま、シャワーも浴びずにパイロット服を脱いで、毛布にくるまって下着姿で眠りについた。夢はなにも見なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます