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基地の整備工場に行くと自分の飛行機が整備車に引かれてどこかに移動されている景色が見えた。
自分の飛行機について愛着を持つことはしないようにしていた。それなのに胸の奥が少し痛んだ。
被弾させてごめん。今までどうもありがとう。私が今日も生きていられるのはあなたのおかげだよ。とハラは心の中で言った。
「飛行機に愛着は持つなよ。新人じゃないんだからこんなこと言わせるなよ」とハラの後ろで整備長は言った。
「あの子はどこに行くの? スクラップになるの?」ハラが言った。
「ならないよ。ハラ。お前の飛行機だ。まだまだ現役で飛べる。どこかの基地で違うエースパイロットが乗るよ。そいつが空の中で落とされなければ、年老いて、飛べなくなって、資料館にでも飾られて、引退。落とされれば空の中に消える。そのどちらかだな」整備長は言う。
「私、あの子のこと気に入ってたんだ」ハラがいう。
「知ってるよ。俺もそうだ」整備長が言った。
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