君を想う
鳴宮琥珀
君を一人にしたくない
ああ、ダメだ。君を置いていくなんて……
花のように笑う君。他の子と話しているのを見て、少し不機嫌になる君。いつも不安そうに僕を見つめる君。どんな君も僕にとって特別で、この世で一番大好きな人。
冬。外に出て空を見上げると、星が見えた。口から白い息が漏れ出し、空気に溶けていく。
この時期は星がよく見える。
都会でも、夜空に一際輝いている星。ここまで見えるってことは、それほど星が光を放っているということだ。まるで、僕にとっての君みたいな…
山とかに行けば、もっと綺麗に見えるんだけど。
前に、君と一緒に星を見に行ったことがある。君は星にあまり興味はないんだろうけど、僕の話をとても楽しそうに聞いてくれていた。
いつだって僕の話に笑ってくれる君。
どんな時でも君のことを考えてしまう。そう言ったら、君はどんな顔をするだろうか。
君に会いたい。早く…僕に笑いかけて欲しいよ。
「私、あなたがいないとダメなの」
長いまつ毛の影を落とし、どこかを見つめながら君はそう言った。
君が何を心配しているのか、僕には分からない。
僕だって…君がいないとダメだよ。
白くて滑らかな肌、その頬に触れながらそう言うと、まだ晴れない顔で君は僕を見た。
だから、その紅色の唇に触れた。こんなことで君が満たされるとは思ってない。でもこれ以上に僕が君にしてあげられることがない。
不安定な君。自分が愛されているということが信じられない君。そんな君をどうしようもなく愛おしく思う僕。
ああ、やっぱり君じゃなきゃダメだ。
君の瞳の中に映る僕と目が合う。その表情に全てが詰め込まれていた。
信号の音が遠くに鳴り響いている。
頭が真っ白になるのとは反対に、視界は真っ暗だ。
(あれ、僕……何をしているんだ…?)
何が起こったのか、頭が追い付かない。上手く酸素が入っていかない。
甲高い声とか、耳元で鳴り響く音とか、色々とごちゃごちゃしていて、でも本当に聴きたい音は、ここにはいない。
早く、君の所に行かないといけないのに。
早く…君を安心させないと……
大丈夫、僕がいる。って、そう言って君を抱きしめたい。
ああ、ダメだ。
ダメ。
君を幸せにするのは僕じゃないとダメだ。
誰にも、君を触らせたくない。
誰も…触らないで。
君を一人にしたくない。
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