なんて、素敵な世界なんだろうか
「うぉぉぉぉぉぉ、凄いぞグロ!!」
「カァ!! カァ!!」
俺は今、
グロを〈巨大化〉して、その上に乗る事で遂に飛行が可能になったんだ!!
「やっほーい!!!」
流石にはしゃぎ過ぎだって?
何言ってるんだ、人類というのは空に憧れてるんだ。
かの有名なライト兄弟だって、同じ気持ちだったはずだ。
それに若干個性豊かな仲間たちに埋もれて影が薄かったし、これからは存分に使い回してやるからな〜!!
「こうして見ると3分間は短く感じるな〜」
せめて10分、いや5分間に伸ばして欲しい所だけど、それを口に出すのは失礼なので止めておく。
「そうだな……せっかくなら【極寒の霊峰】の山頂まで飛んでいって見るか」
きっと凄い綺麗な景色なんだろうな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
5分間のインターバルを済ませ、山頂を目指して再び跳び上がった。
【極寒の霊峰】は富士山に引けを取らないんじゃないかと思わせる程の迫力を持っている。
それぐらいにデカい。
流石に3分間で山頂へと着ける気がしないので、所々休憩しながら進む事にした。
「登山家の理由が分かった気がするな」
登山家のインタビューで「何故貴方は山を登るのですか」と問われた時に「そこに山があるから」と答えていた事を思い出す。
確かに”何かをしたい”という気持ちに理由なんて要らないよなと妙に納得してしまう。
俺には野望がある。
この世界で大きな戦争を起こすんだ。
皆が皆自分の為に戦って、己の為に足掻くようなその世界を望んでいる。
その為には何だってするつもりだ。
例え、それが……あの【魔導帝国】を討ち滅ぼす事だったとしてもだ。
もし【魔導帝国】が滅びるような事があれば、世界はどう動くのだろうか。
それが楽しみで仕方ないんだ。
今はその為の準備期間、少しもどかしいけど我慢だ。
もう少し、もう少ししたら俺は【魔導帝国】に攻め入る。
メイクは許すだろうか、あいつは割と有能だから案外受け入れそうな気がするが……雪の妖精達に危害が及ぶのだったら反対するかもしれないな。
パッツパツは止めるだろうな……今まで【魔導帝国】に居た訳だし、その脅威は一番理解してるはずだ。
だけど――――俺はこの慟哭を止められそうにない。
この欲求不満な気持ちを何処かに放ちたい。
反対されたとしても、一人でもあいつらに突っ込んでやる。
「綺麗だ……」
夕日だ。
美しい夕日だ。
残酷なほどに美しい夕日だ。
なんて、素敵な世界なんだろうか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺は戦争が好きだ。
あの緊縛した、あの肉薄した、あの血塗られた、あの正義の押し付け合いが――――大好きなんだ。
分かってる、俺は異常者だ。
ドス黒い色で塗れたものが好きな奴なんて、ただの狂人だ。
そしてそれを、ゲームで発散しようとしてるだけだ。
そう、これはただのゲームだ。
ただのゲームだからこそ、気持ちを発散する事が出来る。
現実じゃ出来ないような体験が、相手の臓腑に剣を突き立てる危険な行為がゲームだからこそ可能なのだ!!
誰もこの気持ちを理解する事は出来ないだろう。
誰も――――
「では、行きましょうか。
「…………は?」
「全く、気持ちを打ち上げれない程信用されてなかったとは……この私非常に悲しいぞ!!」
なん……で……?
「妾が伝えた」
玉藻前……?
「トグ、もう良いんじゃ。皆
一体どういう……。
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