《晴天の役》息絶えるには素敵な天気
吹雪が止まらないとされてるこの【極寒の霊峰】だが、今日この時だけは異様に晴れていた。
まるで
「ゴルディ、この天気じゃ奴等の吹雪は来ないだろう」
ゴルディ、これが我が名前だ。
この世界において名前は強者の証、大抵のモンスターはその種族名で呼ばれる事が多いとされている。
この我が居る限り、イエティは屈しないのだ。
「皆聞いたか、今こそが勝機。これより雪の里に攻勢を仕掛ける!! 我らイエティの繁栄を求めよ!!」
「「「おう!!」」」
イエティの士気も上々、まさに勝ち戦と言えよう。
「おい、先に向かわせた先遣隊はどうなっている」
「それが……誰も帰って来ていいないのです」
「何?」
全く先遣隊の奴等一体何処で道草を食っている。
勝ち戦だと油断してサボっているんじゃ無いだろうな。
「まぁいい、この天気じゃ吹雪は来ない。我々は先に進軍するとしよう」
「遂に奴等を滅ぼすんですぜ?」
「まぁ、万が一というのも無いだろう。我らの悲願を達成させるのだ」
我らの悲願は雪の里の
雪の里は山の空洞の中にあり、その奥の出口には広大な
そこで魚を釣る事でイエティの食い扶持も満たせるというものよ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……何だあれは」
雪の妖精共が整列して固まっている。
左手に氷の盾を右手に氷の槍を持ちながら、まるで全身が刃で出来ているかのような陣形を取っている。
そして他に特質すべきは地形――――以前より正面が整地されていて両側には林などで側面を覆っているようだ。
まるで、正面から迎え撃つと言わんばかりに。
「ふん、いかに強固な陣形を取った所で我らの爪と牙には勝てん。皆の者、突撃!!」
「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」
イエティが奴等に向かって突撃する。
本来ならば強靭な爪と牙で押しきれる――――はずだった。
「ぎゃぁぁ!!」「ぐきゃぁぁぁ!!」
「ぐわぁぁ!!」「うわぁぁ!!」
突撃していったイエティはいとも容易く槍によって突き刺されて死んでいった。
それどころか、本隊にまで肉薄すると言わんばかりに突進を開始してくる始末。
「えぇい林に入って挟み撃ちだ!!」
これでは突破出来ないと悟り我らは二手に分かれて林の方から攻め入る事にした。
奴等がどれだけ強固であろうとも、それだけ密集していれば動きも鈍重なはず。
「うぉっ!!何事だ!!」
急に地面が下に落ち……っ!!
グサリ。
これ……は……槍……?
「何だ?!」「やめてくれ……!!」
「くそっ……痛ぇ!!」「ぐわぁっ!!」
上から……妖……が……。
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