いずれ世界の王となる者

「なるほどなるほど、来訪者か」


今までの事とここに訪れた来意を全て話した。

傍から見ると完全に不審者だからな。

ここから信用を得る為には隠し事は得策ではないだろう。


「それなら妾も礼儀を持って名乗ろう。妾の名は玉藻前タマモノマエ、いずれ世界の王となる者ぞ」


玉藻前……確か現実世界で言ったら色々とやらかして陰陽師に殺生石に封印されてった逸話があったな。

仲間にするには面白い人材じゃないか。


「それで例の来訪者と言ってたが、俺のような奴がここの世界に来るのは分かっていたのか?」

「分かっていたというより、聞き伝手で耳に入った程度じゃの。妾の焔は視界や音を共有できてな、これで外の様子を見ておったのじゃ」


俺の思った通り、あの紫の焔自体が監視カメラの役割を果たしていたようだ。

しかも植物を採集するなどの簡単な行動ならできると来た。

…………あれ、これグロの上位互換じゃないか?


「カァ……」

「そう落ち込むなよ、得意が取られたら別の分野で対抗すればいいんだ」


グロもそう察してしまったのか見て分かるぐらい落ち込んでしまった。

流石に兵を強化できないって事はないだろうし、速攻で型落ちしても何とかお前を使いこなしてみせるさ。


「それで、その来訪者ってのは何なんだ?」

「聞いた話によると異界から人間達がやってきて世界に革変をもたらすと予言者が言っておった。妾にとっては使える駒が増えるに越したことは無い」

「なら……俺をそのにしてくれないか?」

「ほう?」


俺の最優先事項は闘争と戦争のみ。

玉藻前は世界観的な立場としては、まさに悪役。

王になるために世界に下剋上を果たさんとするその姿は、まさに最高のシチュエーションだ。

当然、そんな世界征服の野望を阻止すべく、あらゆる世界が動くだろう。

もしそうなれば戦乱の世となり、俺が求める闘争と戦争は達成されるだろうな。


これを逃す手はない。


「俺はこの世界に闘争を求めてやってきた。玉藻前、お前は世界の王になるんだろ? ならば、その為に戦わせてくれないか」

「――――――ふっ、面白い。妾としても駒が増えるのは良い事だ。妾の庇護下に入るのなら、それ相応の働きはして貰うぞ」

「勿論だとも、主君よ」


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