本作は、「破滅したい」と願った主人公と、一見恐ろしい悪魔との奇妙な共同生活を描く物語です。けれど、心の奥深くに響くものがあります。 悪魔とのやり取りはどこか穏やかで、淡々とした日常の中にじわじわと染み入る感情の変化が魅力的です。彼の無口ながらも優しさを感じさせる言動に、読み手ももいつの間にか惹かれてしまうかもしれません。主人公の心の動きが繊細に描かれ、彼女の「破滅したい」という願いが一種の渇望であることが伝わってきます。 暗いテーマを扱いながらも、どこか温かさを感じる、不思議な読後感のある作品です。
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