商人は怪しさが欲しい
狐牙組と抗争の話が出た次の日、ベルはある店に行く決意をする。
その店はキラキラ輝いた大通り・・・なんて所にはない。
大通りから脇に入った路地裏。
その路地裏から地下に続く階段を見つけ、下に降りる。
降りた先にある店、「イナズマ」
そこにベルは用があって扉をくぐる。
「おやぁ?ベルさんじゃん?珍しいぃー」
店の奥から声が聞こえる。
店内にはモデルガンや模造刀の置かれたシックな店内。
ベルは周りに誰も居ないことを確認すると本題に入る。
「この44口径のリボルバーの弾ってあります?」
ケースを置き、中身を見せるベル。
そして中身を店主に渡す。
細い目を少しだけ開いた男は白い手袋をはめてからリボルバーを品定めするように確認する。
「44リボルバーのトリプルロックだったっけ?」
「はい。そうです。」
店主の反応からもそれがとても珍しいものであることを物語っていた。
「44口径のリボルバーの弾なんて・・・」
猫耳パーカーを着た男が大事そうに銃を置く。
黒塗りのリボルバーがゴトリと音を立てる。
「やはり無いですかね」
そう聞くのはベル。
リボルバーというガワだけ手に入れても弾がなければ意味が無い。
「あるんだなぁ?コレが。」
男が座る前にあるカウンター下から出てきた箱。
その中にある数百はある銃弾。
それはベルが探していた44口径の銃弾。
「ここからは商談としましょうね?」
カウンターに身を乗り出し、左手で銃のように親指と人差し指を立て頭に当てる。
「はぁ・・・吹っかけるのはナシですよ」
仕方がない・・・という風に溜息を吐きながら椅子に座るベル。
それを見て満足そうにした男。
「ナルカミさん。」
ベルがそう男に話す。
男の名前はナルカミ。
本名ではないが、鳴上らい と公言している。
基本的にナルカミと呼ばれる男。
彼は多くの組の武器商人なのだ。
刀から銃、麻酔に爆弾。
なんでも置かれている彼の店。
そこでベルは店主である彼と話している。
「まぁ仕入れが面倒くさい訳でも無いしねぇ」
ナルカミは少しだけ考えると右手の人差し指だけをたてる。
「こちらは定価で構いません。その代わり、何かあった場合、または武器が必要の場合こちらイナズマをご利用頂くということで手を打ちましょう。」
「中々な商売上手だ。」
「お褒めに預かり光栄です。」
うやうやしく一礼をしたナルカミはクスリと笑いベルから渡されたカードを手際よく読み取り返す。
「では交渉成立ということで。またのご来店を」
「あぁ、すぐに来ることになると思うよ」
今度ニヤリと笑ったのはベルの方。
それにキョトンにしたがすぐに理解をしたナルカミは嬉しそうに笑う。
「そうですか。それは上々。」
手を振りながら扉を抜け、外に消えるベルを見送りながらナルカミは椅子に座る。
「さて、お得意様が消えないといいけど」
そう呟いてゲームを開く。
煙草に代わってお菓子を煙草のように咥え楽しそうに笑う。
次に来るお客様はどうなっているかに思いを馳せて。
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