4月の物を語る

4/2:醜くたって、救われた

4/1

午前の出来事

・電車にゆーらゆーらされながら英単語帳を……嘘です、見得張りました。

 それが……『【web版】放課後、ファミレスで、クラスのあの子と。』https://kakuyomu.jp/works/16817139558048235971

 をずっと読んでいまして。三杉さんの言葉を借りるなら地の文が綺麗で。あ、間接的でほんの少しですが性描写チックな雰囲気も無きにしもあらずなので純情な中学生のお方は控えた方がいい……かな?

 でも一気読みしちゃうくらいにはずっと読んじゃっていました(25:00には追い付いちゃった)。


午後の出来事

・某大学の学食でお昼ご飯をすましまして、その後相平衡図を教わりに……という前に。お昼ご飯の学食で『柚子胡椒天うどん』っていうのを食べまして。ね、面白いですよね、学食って。京都で食べた『まぐとろキムチ丼』然り、実はその某大学の別キャンパスでは『鳥尽くし丼』っていうのも食べたんですよ~。やー、毎日ユニークなご飯があるのは面白い……そんな毎日は学食で良い物は食べられないそうですけれど。

 なんてことはさておいて……ひいひい言いながら学んできましたよ、相平衡図。ま、分かったわけじゃないんですけれどもね。何とかして5月までには理解してやるっ、そのために参考書も借りてきたしっ。


4/2

午前の出来事

・昨日の相平衡図についてうんうんと唸っていまして、そうしたら自由エネルギーと、二成分かつリキダスとソリダス(液体と固体)限定ですが……言いたいことはちょっとわかった……かも? まぁ、慢心はよくないけれど自己肯定感は上げていかないとね、うん。


午後の出来事

・あぁ……どうしたらよかったんでしょう。

 気負いすぎって言われたらそうかもしれないけれど……なんて言っても仕方がないですよね。

 ……今日、動画撮影があったんですよ。ええ、部活でやっている研究発表のね。まぁ、私はその発表組にすら入っていないのですけれど、同じ班員ということもありますし、発表から学ばせてもらおうと思って、居残りしていたんです(私は今まで発表に行ったことが2回しかないので、ね。未熟も未熟です)。ただ、3:00には終わると思っていたのですが、どうも6:00程までかかりそうだと。……逃げたんですよ、要は。課題のせいにしてね、どうにも居心地が悪くて。

 おんなじ班員なのに、別に嫌われているわけではなかろうに、っていうこれこそ慢心ですか? ま、汚い妬み嫉妬と羨望ですかね、逃げたくせに。

 友達とゲームしている時に叱咤激励してもらいましたよ。……うん、頑張る。


<醜くたって、救われた>

 眼下の煉瓦、見慣れた茶色。

 私は帰路についていた。正しく言えば、言い訳のための塾に向かっていた。


 あー、残ればよかった。どうすればいいんだろう、どうしたらいいんだろ。

 未練がましく、うんうんと唸りながら。それなのに、歩きながら。

 今日は、部活で学会審査用の動画を取っていた。

 と言っても、私と相方を除いた、班員たちで。

 別に何か私がやらかしたわけではない。違うのだ、経験がなさすぎるのだ、私たちには。何度も発表経験がある先輩たちに、こちらも大学連携プログラムと個々の努力でその道の切符をつかんだ班員たち。そりゃあ、弾かれるなら私たちだ。


 ……分かってる、けど。


 もしもあのまま最後まで残っていたら、班員の人たちの喜びを少しでも享受できたただろうか。


 相平衡図の読み取りに苦戦している風を装いながら━━もっとも、事実ではあるけれど━━発表方法と、指摘されている物事をメモに書く。

 けれど、発表人員でもなければ、学会に行く人ですらない私には何もできないし、実際ちょっと居心地も悪かった。何か、壁があるような、そんな感じ。


 だから、逃げた。

「相平衡図、わっからん。」

 発表する班員の人に、軽薄そうに、困ったような顔で。

 心の中で、課題が終わっていないからと呟いて、教室のドアへ。


 そうして私は、今に至る。


 もしも今戻ったら、熱意ある班員として見られるみたいな、そんな奇跡が起きたりなんかは、しないだろうか。

 ……熱意なら、あるけど。中学よりも、ずっと。


 どこまでもおこがましくて、自分勝手な、私の妄想。


 班員の人たちは、お世辞でも何でもなく、みんないい人で。たとえ折り合いは悪い人がいようとも部活しごとに持ち出すほど嫌いあうような人なんてそういない、恵まれた環境で。

 ……嫌えないのだ。

 自分の妬み嫉妬だとわかっているからこそ、班員の人たちに非なんてないと思っているからこそ。


 それに、私ひとりではいろいろと足りていないのも分かってる。嫌に口ばかり回るし、すぐに頭が真っ白になる。そして行動が遅いくせして、未練がましくしゃしゃり出る。……最悪じゃないか。


 腕を組んで、少しばかり俯いて。けれども脚は、塾へ進む。

 なぁんだ、体は割り切ってるじゃないか。


 そう言って、心を納得させることぐらいしか、私にはできなかった。


◇◆◇


 結局私は課題をして、脳トレクイズをして。

 一区切りついてから、ス〇ッチをもって日課になってしまったゲームを起動する。

 「はいんよ」ラインの方で一言、竹にメッセージを入れてから。

 毎日夜に、「いつも」の時間。


 その「いつも」は楽だった。どれだけ非日常になっているその「いつも」があるから、私は穏やかでいられている節は、きっとある。


 ゲームをしていたら、ふと、思った。


「ねぇ、叱咤激励してよ」

「えぇ……」

「あ、家族に迷惑かかるならいいから」 

「……ちょっと待ってな」

 ひゅう、明瞭ではないけれど、マイク越しに息を吸う音が聞こえる。


「○○っ、◎△$♪×¥●&%#?!」


 ……うまく聞こえないって、何言ってんのかも、訳わかんないし。


 そう思うけれど、聞き直したりだとか、そういうのは無粋な気がして。


 それに、


 気持ちなら受け取った。どこまでもやっさしいあんたの気持ちなら。


 妹、起きてないよな。そんな声とともにちょっと焦ったように竹があたりをきょろきょろと見まわしている様子が、目に浮かぶ。


 あ、操作ミスった。……とりあえず、イケボで叫んだあんたのせいな。


 うん、これで明日も頑張れる。なんたって、親友から叱咤激励をもらったんだ、やる気にならない筋合いはない。


 自分の未熟さが身に染みて、だからと他人を羨んで。けれども親友の大切さを知った、そんな一日。

 明日はどんな日になるのかな、でもとりあえず今日は、おやすみなさい。

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