2/27:どうせなら屑じゃなく星屑のように――
2/22
午前の出来事
・あ~、もう何でこんな時に限って模試がありますかね。朝から昼まで、別に試験が嫌いなわけではないけれどもちょっとタイミング悪いよ……あれ、でも待てよ。私悲しいことに不真面目だから家だったらこの時間勉強していなくないか? お、いいじゃん。ポジティブにとらえよう。
午後の出来事
・かに、かにですよ! 何年ぶりだろう、お父さん曰く「北の方行ったから買ってきた」らしいけれども感激っ。かにすきにしておいしくいただきました。ちなみに重量的には蠣の半分以下のくせして値段は三倍ちょいって聞いたときは目を剥きましたよ、にゅい~って。二年に一回ぐらいは食べたいね。みたいな話をしてたけれども、あの高級甲殻類を口にすることはそう多くないでしょうな……。
2/23
午前の出来事
・保険の人が来てその間上で勉強していました。株だとか米ドルだとか為替だとか……難しい言葉が飛んできますね、うん。いや、そろそろ分かっとかなきゃいけないのは分かっていますけれども難しいもんは難しいんだもの。
午後の出来事
・と、言うわけで株に感化されて若干範囲がかかってる家庭科に私はご執心。まぁ、ほとんど栄養素の話なんですけれどもね。こういう教科だとか調理実習だとか、高校を出てから必要そうなのに来年からはやらないの、不思議です。
2/24
午前の出来事
・鶏ちゃん(どこかの郷土料理)をフットマップでやっていたのでなんちゃって鶏ちゃんがお昼ご飯に出てきました……ご飯の話しかしてないな。赤味噌とニンニク、キャベツ、病みつきですね。次やるときにはもっとつけてご飯をたくさん炊いておくといいかな!
午後の出来事
・今更気が付きましたけど左顎奥のリンパ節が腫れてましたね、どこが炎症起こしてるんだろう、ま、最近しんどいから思い当たる節はたくさんあるから困ったもんですね。熱計ったら微熱ありました、あははー(棒)
2/25
午前の出来事
・熱は収まったので学校に行けました、ほっ。でも生物やらかした、というか何もかもやらかしたなんで生物で世界地図が出てくるのぉ……(泣)。家庭科のビタミンの効能も書く段を間違えたし……むへー。
午後の出来事
・部活に集中できていないな、テスト期間なんだから時間は大事にしなくちゃ。
2/26
午前の出来事
・数学も歴史も上場ってところじゃないですかね、終始好調でしたし、気分も上場です! ふふ~ん、明日もこの調子で……って、保健とコミ英なの、ぇ、なんでこんな暗記科目なの? ま、英語なんて文字は見えなかったことにして保健は頑張りますかね、成績のためにも(ボソッ
午後の出来事
・鉱物の和英変換索引を模写しました。昨日とは違って有意義な時間でしたね、やっぱり部活はこうでなくちゃ。結局なんだかんだ英語の暗記だとかもろもろを2:00まで集中していたし、明日頑張ろう。
2/27
午前の出来事
・テストが終わりました~っ! 復活、ですっ、ふへぇ……コミ英の結果は怖いですが一旦無視で行きましょう。
午後の出来事
・部活で替え歌を作ってきました。何のとは言いませんが研究内容と絡めてわちゃわちゃと。自分は歌わずに後ろでオタ芸を……(笑)
<どうせなら屑じゃなく星屑のように――>
『二次試験、ファイトです!』
ふぅ、私はメッセージが送信されたのをしっかりと確認してから、ぱたりと手帳型のカバーを閉じてスマホをポケットにねじ込む。
今は2月25日、それも朝。そして今日という日は大学入試二次試験の一日目。メッセージが届くのは九州の何処か、先輩の受験地。迷惑だとは分かっていても、どうしても送りたかったのだ。
先輩は変な人だ。発表もしないし、班員ですら無いのに仲の良い先輩方の最後のパワーポイントを手伝って。どうしてか夏まで私達の研究の猫の手になって。
先輩は変な人だ。「課題はやっても出さない主義なんだよね」なんてニヒルに笑うくせして、毎度のごとく国語で学年一位を取った成績表を当り前のように掲げて見せていた。……あの人理系なのに。
先輩は変な人だ。どこからともなく話のタネを仕入れてきているらしく、私がただ好きを話しているだけでも会話が成立される。
先輩は変で変でたまらないけれども、そのウィンドブレイカーを羽織った背中がどうしてだか可笑しく見えて、私は好きだ。
ふっ、テストに挑むために軽く息を抜いて足元から視線を移していけばふと、妹の作ったラキューの星が目に留まって。
そう言えば
『どうせなら屑じゃなく星屑の様に誰かの━━』
spyairの歌うrage of dustの一節にこんな歌詞があったことを思い出す。
その先は何だったかな、試験期間中に息抜きで少し流していただけだから思い出せないや。
けれども、その言葉はすっと心の内に溶け込んでて。
それから今日メッセージを送るのを決めたんだ。
頭の中に流れ出したメロディはそう簡単に止まっちゃくれない。
『勝ち取りたいものも無い無力な馬鹿にはなれない』
そういう思いが心にあるから貴方はこうして真面目になって。
それで貴方は良いんです。それだから貴方は良いんです。だから応援したくなる。
ああ、そうだ。最後に作詞者はこう締めくくる。
『━━星屑の様に誰かの願い事も背負い生きてやれ』
私がこれから受ける試験の一画と先輩の一画の重さは違うでしょう。私がこれから試験に向かう心構えと、先輩の面構えは鋭さが違うでしょう。
ですけれど、私も少し、あなたの願いを背負いこちらで生きてみます。
だからどうか、あなたに幸あれ。
ピロン
扉に手をかけたとき、ポケットのスマホが震えて。
「逝ってくる」
ええ、逝ってらっしゃいませ。
ついでに幸運と成功を導く女神の神器でもかっさらってきてください。
「いってきます」
ふふ~ん。下手な鼻歌を歌いながら玄関扉に手をかける。
━━ああ、そうだ。
私が開く扉と先輩の開く扉の重さは同じでしょう。私たちの未来へ続くその扉に絶望の重しなんて今はないのですから。
私にとってはありきたりでも、どこかの誰かにとっては非日常な一日。そんな誰かの努力が実ることをを祈る日があったって、きっといい。
明日はどんな日になるのかな、でもとりあえず今日は、おやすみなさい。
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