2月の物を語る
2月5日:部活での後悔
午前中の出来事
・5kmの持久走をした。後半は吹雪になってきて寒かったけれど、たんさえ絡まなければ21分台に乗れたかもしれないと思うと、かなり悔しい。あと8秒、3km走でリベンジしよう。
午後の出来事
・石膏像が完成した。メンダコの石膏像の名前を何にするか真剣に悩んだけれども、いい名前が思い浮かばず。文芸部の人みたいに洒落た名前を付けたかったっ。
・壊滅的に部活に身が入らなかった。あれはあかん。
<部活での後悔>
ぺちぺち、ぺちぺち
私は自分の頬をパステルブルーとかいう明るい青のメモ帳、もとい二代目メモ(ネタ)帳で叩いていた。
今日は学校が終わってからずっとこんな感じだ。久々にぐっすり寝て、やっぱり寝るのは大事だな、なんて思いながら気持ちよく伸びをして、でも今はそれが一日を隔てた向こうにあったことなんじゃないかと思うくらいに陰鬱で。
違和感は、感じてた。
「何やってんの?」
部室に入ってぼうっとしてから、まともに覚えてる第一声が、それだった。
今日は何をやるのかを聞くことなんていつもの事だけど、今日の私の声は、淡白だった。今思えば、仕事をしたくないって気持ちがにじみ出てでもいたのかな。
「何もしてねぇ」
君がそう言うから。私じは駄目だと思いつつもラノベを開いてしまった。開いてしまったらその後なんて分かりきってる、もちろん止まるはずがない。今日一日中ずっと読みふけていたラノベも、部活をさぼっているせいか2割くらい読み進めてしまった。
さっきおどけていた君をふと見れば、先輩のノートを見返してしっかり勉強をしているし、斜め前にいるイケメンの同級生もちゃんと論文を読んで情報収集をしている。
嫌になっちゃうよ、本当に。
部活内容に、じゃない。自分自身に、だ。いい加減罪悪感が私を襲うから、しぶしぶ鞄の中から論文を取り出して、パソコンを立ち上げる。翻訳アプリを立ち上げて、論文のabstractを打ち込んでいく。
○○岩はS地域の△△帯で◇◇質の端部から連続的に変化している。
直訳しただけのほとんどバグみたいな文章を、自分の持っている知識だとか、先輩方が作ったノートだとかを見返していきながら読んで、共有する。何もすることがないとは言いつつも、やっておいた方がいい事なんてたんまりとあるのだ。
なのに
いつもならすんなりと出てくる書き換え候補が頭の中でぐちゃぐちゃになってまとまらない。どう書き換えても間違いなような気がする。少なくとも今少しでも能動的に働けば罪悪感は薄れるはずなのに、罪をかぶれと囁くように私の脳みそがそれを拒む。
ああ、厭。
結局そこから何一つ仕事は進まなくて、部活終了の号令がかかった。
残業をしてから10分、20分。やはり進展はなし。どうしようもないな。
ぺちぺち、ぺちぺち
もう一度自分の頬を叩いてみるが、燃えるようなやる気は出てこない。
胸の奥が痛くなったから、いつもみたいに明るい挨拶も残さず、今日は部室を飛び出した。
私の顔は仰角30ºで固定されてから動く気配も無く、上着の両ポケットに突っ込んだ腕は動かしていないせいか、感覚すら無い。そういえば英コミの時、達磨仙人……法師? が座禅をしすぎて腕が腐ったから今の達磨に腕が無い、みたいな話をしてたけれど。なかなかどうして、私の腕もこのままじゃ固まって、いずれ腐ってしまいそうだ。
まるで両目がガラス玉のようで、私の視界は魚眼レンズを通したみたいに歪んでる。頭も動かさずただすたすたと歩く私は、端から見ると不気味だろうな。
今日は、どうしようもない日だったんだ。
そう思うしかない、そう信じるしかない。
だから、明日は論文の翻訳から逃げずに立ち向かおう。……っていうよりも、たいてい今日みたいなことは公私混同している時に起こるから、終礼の後、やるべきことを再確認してから部室に向かおう。
曲がっちゃって、綺麗じゃなくて。でも平凡でありきたりな、そんな一日。
明日はどんな日になるのかな、でもとりあえず今日は、おやすみなさい。
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