第36話 渓流釣り1



ずっと現実逃避している訳にもいかないので、なんとかみんなをなだめつつ乗車する。


これから向かう先である渓流釣りの出来る河川までは距離があるかららしい。だから、あんまり出発前から時間使ってられない!頼むよほんと!


一応釣りの出来る場所は近場にもあったみたいだけど、どうせならと龍宮寺家所有のコテージがある場所に決めたらしい。


近場のところだとコテージ無しだし、もし人が居て「男!?」みたいに混乱させるのも申し訳ないからな。嘘。みんないるから大丈夫だと思うけど襲われたら堪ったもんじゃねえからな!!


そういった理由で移動時間も少し長めなので、集合時間も早かった。だからか車内に入ってしばらく喋り倒していたみゆちゃんは疲れて眠っている。


たまにみゆちゃんが身じろぎして頭で美麗の脇腹をくすぐる形になってしまっていて、それに美麗が耐えているのが面白い。優しいお姉ちゃんだ。ほっこりする。


ニヤニヤ見ていると赤い顔で責めるように睨まれた。


俺が、ごめんねハニー。と声を出さずに口だけ動かし伝えると美麗はすぐ頷いた。


うん。チョロい。




みゆちゃんが起きないように、声を抑えつつ雑談していた時にふと気付く。


「コテージ取ってるって泊まるんだっけ?」


「いえ、疲れた時に休憩出来るようにですの。」


「なるほど…?なんか荷物多くない?」


「気のせいですの。」


沙耶「釣りの道具だよー。」


朱莉「勝負したg…ぐむっ」


「--------------気になる単語が聞こえたんだが?」


「「「気のせいだよ(ですの)」」」


「まあ、みゆちゃんもいるし流石にか」


「------------------」


「なんか言えや!怖いわ!!!」


沙耶「達也静かに。みゆちゃん起きちゃうでしょ?」


「えぇ…」



------------------------------------------------------------------------------------------------



若干の警戒心を芽生えさせられたりもしたけど、その後は各々話したりと自由にしつつ今日の目的地に着いた。


車を降りると自然に囲まれた場所だった。駐車場でひらけてるから、あんま山って感じはしないけど、道中の車内の感じからして少しは登ってきたんだろう。


この場所のイメージを簡単に言うのであればキャンプ場の駐車場が一番近いかも。THE・森!って感じ。



「おぉ~。心なしか空気が美味いな」


朱莉「わかる!おいしいよね!」


「-----朱莉はほんとにわかってそうだなあ」


なに言ってるの?みたいな顔してるけど、そのまんまの意味だよ。

他のみんなも続々と車を降りてきて、荷物を持ったり移動の準備を進める。


俺も荷物を持とうとリュックを取り背負おうとしたんだが沙耶にブロックされた。周りの目が無くてもだめなのか…。



「美麗、どのぐらい歩くの?」


「みゆもいるので…だいたい15分程ですの。」


「へぇー結構近いんだ。それならよかった。」




駐車場から少ししたらすぐに河川の音も聞こえつつ、歌いながら歩き渓流釣りのポイントに到着!


クマよけ対策だね。鈴もあったんだけど、みゆちゃんが歌い始めたので、みんなで合唱してた。沙耶はみゆちゃんと手を繋ぎ振りながらで、朱莉は元気いっぱい。美麗だけ最初恥ずかしがってた。


ちなみに、今日は運転手もしてくれているメイドさんは合いの手を入れてた。若干引くほど完璧だった。クールな顔してやめてね?



メイド「皆さん、この周辺が釣り場になります。」


「おおー、もう着いたんだ。」


メイド「一応昨日のうちに放流したのですが、釣れなかったら申し訳ございません。」


「そんなことまでしてくれたの!?いやいや、ありがとうございます!」



聞くところによると、いきなり自然の渓流じゃ初心者には難しいらしい。なので、元々管理されているエリアに追加で魚を放流までしてくれた。さすが龍宮寺家!細かい気配り完璧かよ。普段もそういう一面を見せてほしい。ほんとに。

どうせやるなら釣ってみたいし、大助かりだ。頑張ってどうにかなるもんでもなさそうだけど、がんばろう!


その後、釣り場に関して話し合った結果、釣り糸が絡まったりしても面倒なので少し離れて釣りを行う形にしようとなり、女性陣は時間ごとにローテして俺と釣りをする流れになった。




「達也、私たちはもうちょっと上流だってー!いこっか!」


沙耶に促されて移動すると、一応視界内にはみんなの姿が見える位置でちょっと安心。あっちの声までは全然聞こえないな。

釣り糸を岩場付近に上手く垂らしながら沙耶に話しかける。



「こうして沙耶と二人なのも久しぶりな気がするな」


「え?美麗ちゃん仕事の時とか家で二人じゃない?」


「いや、こう改まってっていうか…。出掛けてとかで二人なのは久しぶりじゃないか?」


「あー、そういう意味ね。確かに言われてみればそうかも」


「沙耶が居ると落ち着くよ。…つめてっ!!」



少し距離のある沙耶から川の水を掛けられた。なんで!?ツンデレ属性開花した?

あ、照れてるのか。頬に赤みが。



「ごめんごめん。沙耶的には今の生活に不満とかない?大丈夫?あんま改まってこういう話できてなかったし、いい機会かなって。」


「ん~…贅沢過ぎるくらいかなぁ。普通じゃ週1しか一緒にいれないわけだし毎日一緒に居れるだけで嬉しいし、楽しいよ?」



なにこのいい子…。あ、俺の婚約者(嫁)か。



「それならよかったよ。寂しくなったりしたら遠慮せず言ってくれ。いつでも時間作るよ」


「ふふ、ありがと!その時は目一杯甘えていっぱいわがまま言うね?」


「どんとこい!--------おっ、あっち釣れたみたいだな」


「「あっ」」



朱莉がせっかく釣り上げたのに針を外すタイミングでリリースを決め込んだな。

沙耶と目が合い、お互い笑い合った。

その後は、沙耶も俺も一匹釣り上げることに成功した。まあ、俺は沙耶の竿を借りてだけどな!!沙耶が気を利かせて二匹目掛かった時に「達也こっちきて代わって!」って譲ってもらった。優しい!好き!


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る