第33話 婚約挨拶


遂にやってきました美麗の実家…。龍宮寺家のみんなも知ってるだろうけど婚約の挨拶をしなければならない。


沙耶の時は、昔から知ってるからサクッと終わったけど…。今日は疲れるって相当の覚悟を決めてきた。


元々夏休みに入ったらすぐに行こうと話してたんだけど、龍宮寺家の家族全員揃う日が中々なかったから、少し遅くなってしまった。


そのあいだにも海やプールとお世話になっちゃったな。先に来たかったんだけど。まあ、しょうがないね。忙しい方々だろうし。


美麗と共に門を抜け前回と同様にメイドさんが開けてくれているドアを抜ける。



「ママですわ!!!」



はやいはやいはやい。まだ家入ったばっかじゃん。せめて部屋で心の準備はさせてね?


ドアを抜けてすぐ横に待機していたであろうママが出現。いつからそこに隠れてたの?さすがに直前だよね…?


「??本当のママですの」


反応に困ったので、美麗を見れば小首を傾げやがった。君は俺のホームであって欲しかった。今日はアウェーかな?



「ご無沙汰しており」


「固いですわ!!!」


「ママただいま?」


「パパァ!!息子が!!息子が帰ってきたですの!!!!」



------ママ、美麗もいますよ?



この反応にも慣れた様子のメイドさんに案内され応接室に向かった。このあいだエロメイドになってた子だ!あ、流し目やめてね?俺って案外チョロいから。そんでもってメイド服は弱点だから!


なんとかエロメイド(今日はスタンダードなメイド服)から意識を逸らして、応接室の椅子に美麗と隣合わせに座っていると一番早く部屋にやって来たのはみゆちゃんだった。


みゆちゃんは部屋に入るなり、挨拶もせずに俺の膝に乗っかってきた。誰も注意しないのはなんでだろうね?


「おにいちゃん!」


「久しぶりだね、みゆちゃん」


「みゆもおにいちゃんと結婚したい!」


美結みゆはこっちですの!」


みゆちゃんの怒涛の勢いに美麗がそう言ってみゆちゃんを自分の膝の上に移動させた。前回は好きにさせてたのに今回はダメだったようだ。あ、みゆちゃんが美麗を振り切って戻ってきた。


「おにいちゃん返事は?」


ああ、続くのね。随分したたかに育って…。


「みゆちゃんが大きくなって気持ちが変わらなければね?」


「やったあー!!」


美麗が珍しくこめかみに手で押さえて首を振ってる。え、まずった?


「達也さん、世の女性を舐めすぎですの…。」


「え…まじ?みゆちゃんが結婚出来る歳になるのなんて10年以上先のことだし忘れてるんじゃ?」


「ばかですの…。」


「ばかって言った!?えっ、美麗がそこまで言うほどのことなの!?や、やばいの…?」


「聞き間違いですの。この件は今すぐに達也さんから沙耶ちゃんに連絡してあげてほしいですの。」


「ええぇ…わかった…。」


ちいさい子供の言うことにそこまで深刻そうな顔されると不安になるじゃん!まあ、美麗がそこまで言うなら一応沙耶に連絡入れておくか。


携帯で連絡しようとする俺の手を邪魔してくるみゆちゃんに苦戦しながらも沙耶にメールをしておく。みゆちゃんが頭撫でてもいいよ?(強制)とグイグイくるので、片手だけで送ったので大変だった。



そうしていると龍宮寺家の面々が続々と入室してきたので立ち上がり挨拶をしようとすれば手で制される。


まあ、立とうとしてもみゆちゃんブロックで立てなかったから助かったが。絶対どく気ないね?そう思って見つめると首を傾げるみゆちゃん。龍宮寺家のとぼけの技術は遺伝かな?


パパとママの他に見たことない人がいるが、この人が美麗のお姉さんかな?見た目的にも美麗の数年後って感じの美人さんだ。よく似ている。


席につくなりパパが声をかけてきてくれた。


「おかえり達也」


返答が難しいよパパ…。


「ご無沙汰して」


「固いですわ!!!」


「パパただいま。」


「よろしい。この子は初対面だね?美麗の姉のみs」


「お姉ちゃんですわ!!」


パパの紹介をカットインして姉が喋り出す。えぇ…。


「お姉さんはじめまして七瀬達y」


「お姉ちゃんですわ!」


「お姉ちゃん…」


俺は遠い目をしてないだろうか…。心配になる。


全然話聞いてくれないじゃん。自己紹介でカットインしてくるなんて。我が強いというか…龍宮寺家のトップだよね?会社の時はさすがに違うよね?


その後は、わずかな雑談を交え本題を切り出すべく姿勢を正す。



「この度、美麗さんとの婚約を」


「おめでたいですわ!!!今日は泊まっていくのでしょう?」



緊張しながらも話し始めるとママにカットインされた。おれ今日全然喋らせてもらえないね?終始圧倒されてます。


助けてほしいなぁと横の美麗を見ると関係なさそうにお姉ちゃんと紅茶を楽しみながら談笑している。絵になるな。


あっ。こっち向いた。腕の裾をクイクイされるので美麗に近づいて耳を口元に持っていく。


「ひゃ!」


おいやめろ。耳を甘噛みされて変な声出た!いま絶対にそういう場面じゃないでしょ!!見ろ周りを!この微笑ましいものを見る目を!


再度クイクイされたので美麗に責める目を向けながらも、仕方なくまた耳を近づける。


「家のこと言わないでいいですの?」


こそこそと小声でそう言われる。


「家のこと?」


「建てるのでしょう?先に言っておいたほうがいいですの。」


「ああ、まだ先だけどお願いはしておくべきってことか。」


「みゆも住む!!」


小声で話していたんだが、俺の膝上のみゆちゃんは聞こえてたみたいだ。うん。住まないよ?



パパ「家の話かい?場所はどこにするんだい?」


ママ「一等地ですわ!!」


お姉ちゃん「それでしたらわたくしの家の隣ですわ!」


パパ「それならここからも近くていいな。」


「お姉さまの隣…とってもいいですの!!」



うん!もうそれでいいです!


それじゃしばらく俺は置物に…いや、みゆちゃんの頭をなでて心を癒そう。それだけしていればいいや。思考放棄!




「聞いてますの?」


しばらくみゆちゃんの頭を撫でるだけの機械になっていた俺に美麗が声をかけてきた。


「ごめん、ボーっとしてた。もう一度言ってくれる?」


「2年生になる頃には建つらしいですの。」


「おぉう、はやいな」


俺の知らないところで、とんとん拍子に決まってくな。美麗に一回任せるとは言ったがここまで任せっきりになるとは思わなかった。


「皆さんありがとうございます。」


「いいんだよ。僕も通った道だからね。」


パパ…。昔を思い出したのか遠い目してるけど、あなたも随分やってくれましたよね?初手じゃなかったか?



その後は、美麗はお姉ちゃんと話し込んでいた。久々に会ったのだろうか、楽しそうで何より。


しばらくママとパパに質問攻めにあった俺はやっと解放されたのでご飯の時間まではみゆちゃんと遊んで癒されよう。


ん?あ、お姉ちゃんが構って欲しそうにこっちを見ている。美麗いける?とアイコンタクトを送る。…だめそうだ。お姉ちゃん側っぽいね。


「美麗との馴れ初めが聞きたいですわ!!」


さっきパパとママにもしたよ…。



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