第32話 10月1日・秋分

 季節や日付が変わろうと中高年無業者の生活は基本的に変わらない。昨日は月末だったので通帳の記帳のため銀行に行ったが、これは外出する口実である。

 いまどき紙の通帳使ってるの?と驚かれる人もいると思うが、俺は現金も紙幣や硬貨が好きでデジタルマネーはどちらかといえば嫌いだ。ただ決済手段はクレジットカードが大半である。さらにいえばネットバンキングも使っている。

 俺はささやかながら投資をしている。金融機関が頭を下げて営業にくるほどの資産はないので、利便性向上と節約のため現金を使う機会を減らした。長々と言い訳しているが世の中の流れには逆らえないだけだ。


 社畜時代から投資している日経平均株価インデックスの運用成績が上がっている。石破総理の辞任表明からの期待上げ?で最高値を更新し続けた。米国株インデックスもよく分からない値上げが続いた。FOMCも終わったし、値上がり材料は乏しいと思ったがAIバブルの影響だろうか?日経平均も半導体株が引っ張ったみたいだし。

 日銀がETFを手放し始めて金融正常化(利上げ)に進むのでは?というニュースで少し下がった。2024年の植田ショックのようなインパクトはなく、チャートをチラッと見ただけだ。去年は世界同時株安とiDeCo口座の移行と重なり、資産額が一気に目減りしてやる気を失った。今年のトランプショックも含み損が大きくなり投資をやめたくなったが、SNSを見たりや書籍を読んで不安をしずめ積み立て投資を続けた。長期投資なんだから下がったら安く仕込めるなんてうそぶいた。


 経済産業省の統計によれば8月の鉱工業生産指数と小売販売指数は、市場予測より下がったらしい。一瞬8月は稼働日数が少ないからでは?と思ったが調整してなおをその数値だし先月から連続してさらに前年同月比でも下がっている。

 要は景気が悪いのだろう。製造業は特に自動車や精密機械はトランプ関税の影響が大きいはずだ。自動車の輸出量が1.2%減でも輸出額が26%減ではシェア維持のため実質値下げしているようなもんだ。現地工場で組み立てするにしても、部品を日本や他の国から調達しているだろうし関税の影響からは逃れられない。

 部分的にはミラン論文は正しかったと証明した。ただMAGA派が望むように製造業が米国に戻るかは不明だ。(ていうか無理だろ)トランプ氏に投票した多くの人は、関税は外国が負担しインフレは止まって雇用は増えるとバラ色のような未来を信じたのかもしれない。ただ関税の価格転嫁が(トヨタは7月から)始まって、なんか思ってたのと違うと気づき出したと思う。

 

 指標だけ見ると思ったほど米国消費は冷え込んでいない。上位10%の富裕層が消費額の半分を占めているからかもしれない。下位60%の貧困層?の消費額は全体の20%程度らしい。 

 先日、俺の数少ない読者に教えてもらったBNLPの利用者は、おそらく下位60%の人たちだろう。少額を分割で支払えるし手数料が安いらしい。さらにクレカに比べて審査が緩いそうだ。

 俺は使ったことはないがクレカのリボ払いは相当キツイ。手数料、要するに金利だが複利的に増えていく。残高に比べて毎月の支払額が小さくては、元本+金利にさらに金利がかかるからいつまで経っても終わらない。支払が滞れば信用スコアが下がってさらに高い金利が課される。

 そんな人にBNLPを教えたらよろこんで飛びつくだろう。スーパーで食品を買うのに分割にするか?と聞かれたら、思わずそうしてしまうかもしれない。

 むかし友人が言ってたことだが、クレカ決済にするとお金を使った感覚が薄いそうだ。俺が現金が好きなのもその当たりにある。(震災の時に電気が止まってクレカ決済が出来なかったこともあるが)

 分割後払いだとお金が増えたような気する。米国在住の日本人によるYouTube動画でそんなことを言ってる人がいた。リーマンショックのときサブプライムローン利用者も同じようなことを言ってた。住宅は高く売れるから、それを担保にさらに巨額な融資を受けて、増えたお金でなんでも買えたと。

 単に借金が増えただけなのになんでそうなるかな?アホだなと当時の俺は暢気にそう思ってたが・・・その後米国発の世界同時不況がきた。


 いま米国株は割高らしい。日本株もそんな気がする(PERを確認したわけじゃない)が今度は本当に暴落が来るのだろうか?今は金や仮想通貨に資金が流入している。価値保存機能があるそうだが俺は理屈が分かってもやる気が起きない。投資(投機?)は怖いという先入観はなかなか消えないみたいだ。

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