第18話

「どうして、私が勇気を出してここに来たことわかるんですか?」


私がそう問いかけると、お坊さんは再度微笑みながら


「さぁ、どうしてでしょうね〜

私は毎日たくさんのお参りに来る人を見ておりますので」


「顔で分かっちゃうんですね

でも、2人は喜んでいないと思います」


私はすごいな〜と思いつつ、またお墓に目線を戻した。


「後ろめたいお気持ちがおありで?」


「私は彼らに愛されてた

愛されてたのにも関わらず、葬儀は途中抜けで、お参りに来たのも4ヶ月ぶり

怒ってますよ、多分」


「でも貴方は、彼らの母校に転校された」


私はびっくりして、お坊さんの顔を見た。


なんでその事を、知ってるのか


「主さまがお話されておりました」


あ〜、お父さんが、あの人は口が軽い。


「私は、お二方とお話したことがないので、どのようなお方かは、存じ上げません。


ですが、ここにいらっしゃるたくさんの方が、お二方の話を聞かせてくださる。


皆さまが聞かせてくださるお話から想像すると、とっても喜んでおられるのではないかと。」


たしかにそうだ。

にぃにと龍くんは、私が4ヶ月来ないくらいで怒るような人たちでは無い。


1年かかっても10年かかっても怒らない。


怒っているのは、私の方だから。


聞きたいことは沢山ある。

ここに来ても、私の質問に2人が応えられる訳じゃない。


あ〜、黒い。


私は日が沈みかかった空を見上げて、あ〜帰ろ

ただそう思った。

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