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1. 交わる視線

　高校に入ってからも、健とは時々話すことがあった。

　「彩花、次の英語の課題やった？」

　「うん、一応ね。健は？」

　「まだ。」

　「相変わらずだね。」

　そんな他愛ない会話を交わしながらも、私はどこかで気づいていた。健の視線が、時々私に向けられていることに。

　それが「昔の気持ち」のままなのか、それとも新しい想いなのかは、わからなかったけれど——。

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2. すれ違いの結末

　雄也とは、高校が別々になってからも連絡を取り合っていた。

　「来週、久しぶりに会わない？」

　「ごめん、その日バイトがあって……。」

　「そっか。また今度な。」

　最初は週に何度もしていたLINEも、次第に回数が減っていった。

　（本当に、このままで大丈夫なのかな……。）

　会えない日々が続くうちに、私の心には少しずつ不安が募っていった。

　そして——。

　「……雄也、私たち、このまま続けていけるのかな。」

　ついに、その言葉を口にしてしまった。

　「……俺も、最近考えてた。」

　雄也の声は、いつものように優しかった。でも、その優しさが、今はどこか遠く感じた。

　「彩花が好きだよ。でも、今の俺たち……ちょっと無理してる気がする。」

　「……うん。」

　気づけば、お互いに苦しくなっていたのかもしれない。

　「別れようか。」

　「……そうだね。」

　静かに、でもはっきりと。私たちは、お互いにそう言った。

　これでよかったんだ。そう思うしかなかった。

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3. 偶然の再会

　その数週間後——。

　「健、次の授業どこ？」

　「数学。彩花は？」

　「同じだ。」

　何気ない会話をしながら、私たちは並んで歩いていた。

　昔と同じように、自然に。

　でも、違うのは——今の私にはもう、彼氏がいないこと。

　（健は、今も私のこと……。）

　そんなことを考えた瞬間、健がふと立ち止まった。

　「……また、俺と付き合ってみない？」

　驚いて彼を見つめると、健は真剣な顔で私を見ていた。

　「無理にとは言わない。でも、俺はずっと彩花が好きだった。」

　——ずっと、好きだった。

　その言葉が、胸に響いた。

　私の気持ちは、まだ整理がついていなかった。

　でも、気づけば私は——

　「……うん。」

　もう一度、健と恋をすることを選んでいた。