第15話 高揚する気持ち

団長に強く抱きしめられ密着した体勢で、私の唇に触れた団長の唇は、

優しいキスから徐々に強くなり、今は団長の唇が私の唇をハムハム噛んでいる。

「んんんっ!!」

団長の唇が私から離れない。徐々に苦しくなり、団長の唇から逃げようと身動(みじろ)ぎする。でも、私の後頭部は団長の手にガッチリと掴まれていて、首を動かすこともままならない。

苦しくて・・息ができない。

「やっ・・め・・・っんう・・」

苦しいことを団長に何とか伝えようと口を開きかけた時、

ぬるりとした物が口の中に入り込んだ。

私の口の中に侵入してきたソレは、暖かくぬるりとした感触だった。

これっ・・・・て、舌・・・・・団長の!?

困惑する私をそのままに、団長の舌先は私の歯先をなぞり、上顎の裏側を舐めてくる。

背筋がゾクゾクする。位置を変え、貪るように団長の唇が私の唇に触れるたびに、

ゾクゾクビリビリと背筋に電流が走り、身体がビクッと跳ねそうになる。

キスって・・・・・こんな感じなの!!

こんなに舐めまわすものなの!?

「っん、っ・・・・」

苦しくて・・・呼吸をしたくて、何とか息を継ぐ。

クチュ・・・ク・・・チュ

その合間に聞こえる生々しい音が、私の動揺を誘う。

ああっっっっ、まって!まって!私、初心者なの!

なので、もうちょっとだけ手加減してくださいっ!

息をすれば、口の中の団長の舌を締め付けそうで・・・・怖くて

呼吸が上手く息が出来なくて、苦しくて、団長の胸を叩く。

そして、ようやく離される唇。

唇が離れる際に、私のものか団長のものかわからない唾液が糸を引く。

それだけでも十分すぎほど恥ずかしいのに、私の濡れた唇を団長の舌先が舐める。

「っ、うっ・・・、う〜〜〜〜」

はずかしくて俯きたいのに、私の後頭部を掴んだ団長の手がはなれることはなく、

真っ赤になっているであろう顔を団長に晒す。

恥ずかしすぎて死にそうになっている私に、団長は熱を孕んだ獰猛な笑顔を向ける。

「俺の気持ち、ちゃんと伝わったか?」

もちろん・・・・いえ・・・・それどころでは・・・・。

「・・・・でも、こんなキス・・・・なんでこんなにするんですかあ〜〜・・・」

恥ずかしくて。

恥ずかしすぎて、半泣きの私。

そんな私を団長は、優しくみている。

「好きだからだ。どんな君も好きだから」

そう言いながら、団長の顔が近づいてくる。

「まっ・・・・」

軽いくちづけが頬に落とされる。

子供に『いいこ』『いいこ』するように団長が頭を撫で、撫でるごとに団長の手の平が私の髪を梳くようにして離れる。団長の長い指が、髪を梳き、耳元から後頭部を包み込むようにして手の平を差し込む。耳朶に団長の手首が触れる。そのゾクゾクする痺れにも似た感覚。

呻(うめ)く甘い声・・・・誰の声?

団長の声ではない。わた・・し?

こんな甘い声・・・私じゃないーーーー(否定も肯定も出来ない)

「・・・・ミサキ」

「ん・・・っ、ふぁっ・・・っん」

どこまでも優しく、甘やかす・・・・やわらかい、いたわるようなキス・・・・

ドキドキして、気持ちがフワフワして、何も考えられない。知らず知らず、団長の胸にギュウウッとしがみついた。

「・・・・ミサキ。・・・・俺は、君が・・・君だから好きだ。だから、他のことは関係ない。ミサキのものだから好き・・・・ミサキのものならどんなものでも好き・・・・これじゃダメか?」

それって、私が好きだから他も(おおきなバストも含めて丸ごと全部)

好きって言ってくれたの!?

言葉にできず、目を見開きながら団長に問いかける。

「ああ、やっとわかったか」

私の耳元に口を寄せ、呟かれた肯定のことば。

嬉しくて・・・高揚した表情のまま固まってしまった私のこめかみに、団長の唇がそっと優しく押し当てられた。

そして、ゆっくりと団長は顔をあげ、私をまっすぐに見つめる。

そして、耳元に顔を近づけ・・・・吐息が。

「好きだ」

ズッックン、と身体の奥が音を立てた。

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