第二話

彼女と探偵をすることになった次の日。

私達はカフェへと集まった。


「暑いね」

「うん」


真夏だというのに冷房がついていなかった。

私は汗を拭うと、早速切り出した。


「探偵....どうする?」


緊張と暑さで頭がおかしくなったのであろう。意味不明な質問をしてしまう。

彼女はクスッと笑うと、メニューを開く。


「先に注文しようよ。暑いし、疲れちゃうよ?」



数分後、私達の目の前に広がったのは山のような量のスイーツやジュースetc...

全て彼女が頼んだものである。

おかしい。絶対に何かがおかしい。


「これ...全部食べるの?」


半ば怯えながら聞く。


「それはもちろん」


そう言って彼女は食べ始めた。

その仕草一つ一つが洗練されていて、とても美しい。

この様子が映画の1シーンだと言われても、私は信じるであろう。


「それでは第一回、最上探偵事務所の会議を開始する!」


彼女が突然言った。

最上は私の名前である。


「木下探偵事務所にしようよ。」


思わずそういった。私は自分の名前が、探偵事務所の名前になることに妙な気恥ずかしさを覚えた。


「えぇ〜。最上さんが始めたんだし、最上でいいよ。そうしよ?」


私は頭を抑えると上を向き、それから下を向き...そしてまた上を向いた。


「何変な動きしてるの。」


呆れ顔を浮かべる彼女。

私は諦めるしか無いことを悟った。



「ねぇ、最上さん。」


カフェからの帰り道はもう夕方になっていた。


「私達――名前で呼び合わない?」


「*!?!?"+>PLEokp!e2!=2E0!"KEO!"{~}*!*"}E`{!~」


驚きのあまり日本語を一瞬忘れてしまった。


「...最上さんて、面白いね。」


心外である。私の奇行は彼女が原因だからだ。


「ありがとう...?あと名前で読んでもいいよ」


私は釈然としない気持ちで頷いた。

彼女はにっこりと笑い、そのまま歩き出した。


その日、彼女と別れてから私は家へと戻った。



「ただいま〜」


うちの家は4人ぐらし。

弟と兄、そして父と母である。

弟は7才。ついこの間小学生になった。

そして兄は社会人...であるが何の仕事をしているかは親も知らない。


「ねーちゃん、助けて!」


玄関に弟が突っ込んできた。

Gゴキブリでも出たのかと思い聞いてみると予想を遥かに超える返事が帰ってきた。


「幽霊が、幽霊が出た!」

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太陽と幽霊 猫蕗 @cat_

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