第3話 異世界チート生活?
7.とりあえず困ったら冒険者
「へぇ〜マサルって地図に載ってないような集落から来たんだ。」
街へ向かってる途中で俺は色々聞き込みをしていた。上手い誤魔化し方が思い浮かばなかったので適当に地図に載ってない所から出て旅をしてるという出任せを言ってみたが、まぁ嘘ではないからいいかな。
「そうなんです、だから街の事や所持品とかお金の価値も分からなくて…」
「おいおい、ずる賢い奴らに会ったら簡単に言いくるめられて素寒貧にされちまうぞ。」
ガリウスが忠告してくれる、ほんとにその通りだ。言いくるめられる所か俺は値引きもした事がないし、商人の足元見た値段交渉の話術に勝てる気がしない。
「そうですね、と言っても今の手持ちはナイフ1本しか無いんですけどね。」
「むしろナイフ1本でよく生きてこれたな、弱い魔物しか出ないわけでも無いだろうに。」
密偵のユリウスが周りを警戒しながら話しかけてきた。
「逃げ足には自信があるから、へへっ」
未だに上手に会話が出来てない気がする、コミュ力上げる魔法とかないかな。
「それで街に着いたらどうすんだ?何か働く当てとかあるのかよ。」
「うーん、特に決めてなかったんですけど俺も冒険者になろうかな。」
「おいおいおい簡単に言ってくれるけど冒険者はキツイぞ、いつ死んでもおかしくないし最初はパーティを探すのだって一苦労だ。因みに俺らはパーティ組めんぞ、4人組で安定しているしマサルを守れる程余力がないからな。」
ガリウスさん…強面なのに優しすぎないか、アニキって呼びたくなる。
「そうですね、甘い職業とは思ってませんが俺にはこの
そう言いながら俺はナズナに手をかけた。
「へぇ、そのナイフ特殊な力持ってるの?鑑定してもいい?」
興味を持った魔法使いのミレーヌが聞いてきた、普通に秘宝級はバレたらヤバそうだけど、これで良い人か悪い人か区別出来る。まぁいきなり襲われたらナズナさんに助けてもらおう、そうしよう。完全に他力本願である
《…》
そんな俺の心を見透かしたのかナズナさんから何とも言えない視線を感じる、目なんて無いだろうに。
「あぁ良いですよ、寧ろこのナイフの正しい価値を知りたいからお願いしたいです。」
「えぇ〜ただのナイフにしか見えないけどなぁ。」
サーシャがナイフを見るも一瞥したら興味を無くしてしまった。
「じゃあ見せてもらう、
鑑定をしたミレーヌが可愛らしい悲鳴を上げると共に腰を抜かして座り込んだ。そうなるよな、魔法の無かった世界の俺でさえ引いたもん。
「お、おいどうしたミレーヌ?」
心配そうにガリウスが声をかけると、ミレーヌが震えながらナイフを見つめて話し出す。
「こっこここれ、これひっ秘宝級のナイフ…耐久力も攻撃力も魔力も桁違い…付加されてる魔法も3つ以上付いてるしスキルレベルが9…あ、ありえない…こんなの国宝どころか御伽噺にも出てこない神話のナイフ…」
そう説明するとミレーヌは遂に泣き出した。
「「「はぁぁぁぁぁ!?」」」
他の3人は息ぴったりに驚いていたが信じきれてないようだった。
「おい!マサル!!マジか!?マジで秘宝級のナイフなのか!?」
「いや、そもそもどうやって手に入れたんだよ!もしかしてマサルは王族なのか!?」
「神話に出てくるようなもの王族でも気軽に持ち出せないわよ!何か仕掛けがあるのよね!?本物じゃないでしょ!?」
皆パニックになり俺に質問攻めをする、この何とも言えない優越感これはイキってしまうのも仕方がないくらい病みつきになるな…正直すっごく気持ちいい。
「ハハハハ!ヒィー!ぶふっふふふ…すいません、そんな反応になるだろうなと思ってたら予想通りすぎて笑ってしまいました。」
俺は耐えきれずに笑ってしまったが謝罪し説明に入る、いきなり笑った俺を見て皆も冷静になった様だが皆はまだ口が開きっぱなしになっていた。
〜説明後〜
「はぁ〜しっかしこのナイフを預けてくれた人ってのは神様か何かなのか?いや、いきなり森の中に置いていかれるから邪神か?」
俺の身の上話を簡単に説明すると信じてもらえたようでガリウスが同情して言葉をかけてくれる。
「秘宝級をポンとくれるとは…そんな話は御伽噺でも聞いたことが無い程の気前の良さだな。」
「ほんとね〜もう二度と秘宝級に出会える事なんて無いかもだし今の内にたっぷり触らせてもらいなさいミレーヌ。」
「ほ、本当に貴重な体験、出来れば魔法研究学会に持ち込みたい位…こんな業績国を挙げての凱旋になる。」
皆思い思いの感想を述べながらナイフから目を離さないでいた。その様子を面白そうに観察しながら俺は質問した。
「秘宝って世界に幾つあるんですか?これ1つじゃないですよね?」
「そりゃあるにはあるが世界中で公表されてるのは9つだ、勿論国が公表してない物や個人が持っている物もあるから絶対とは言えないがな、このナイフみたいに…」
そっか〜あるにはあるんだなぁ、ナズナで無双!って事には出来なさそうだな。
「にしてもこのナイフの魔力量とスキルの多さは異常、秘宝の中でも上位なはず、私も秘宝を見たのは初めてだけどこれはおかしい。」
「おいマサル、これ絶対に誰にも見せるなよ。マジで殺されるぞ」
「ガリウス達はそのナイフ欲しくないですか?今俺を殺したら手に入りますよ?」
軽く探りを入れてみた、すると4人が目を合わせ一瞬空気が淀みピリついた気がした…
が、そんな空気もすぐに霧散した。
「おいおいマサル、俺達を山賊とかと一緒にしないでくれよ、少し傷付くぞ。」
ガリウスが茶化したように言うと、他の3人も“そうそう"と頷いていた。
《(優様、この者達からは敵意を感じませんのでもういいでしょうか。)》
うぉ!頭に直接ナズナの声が…念話ってやつかな?
(あーあーナズナ聞こえる?もういいよネタばらししちゃって)
そう頭の中で念じるとナズナが理解したかのようにミレーヌの手から離れ空中に浮き自己紹介をした。
《皆様ご挨拶が遅れて申し訳ありません。私、人工知能搭載ナイフ型ゴーレム、名をナズナと申します、よろしくお願いします。》
ナズナが自己紹介を終えるとガリウス達は再び目を大きく開き固まっていた。
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8.初めての街、イステマル
ナズナの自己紹介も終わり、興奮冷めやらぬガリウス達に日が暮れる前に街に入りたい俺は歩きながら質疑応答すると言い、何とか街に着いた。
「到着ー!ようこそマサル!ここが私達が拠点にしてる街、イスマテルよ!」
「おー!凄いな!!The異世界って感じだ!」
アニメや漫画で中世ヨーロッパ風の街並みを見るけど実際に自分の目で見ると改めて感動する。ビバ異世界
「にしてもありがとうガリウス、関所で代わりにお金払ってくれて。後でちゃんと返します」
「気にすんなよ、秘宝を触らせてくれたんだから寧ろこっちがお礼を言いたいぜ。そう言えばマサル金ないなら宿に泊まれないよな?これ、多くは渡せないが2日分位の宿泊費にはなるから受け取れ。こっちは出世払いしてくれよ?」
そう言ってお金が入った小袋を渡してくれた。
「アニキィ!」
「あ、あにき?」
しまった思わず口に出してしまった。
「ま、まぁ俺達は兎の尻尾亭に泊まってるしマサルもそこに泊まればいいさ、あそこは比較的安いし、晩飯も付けてくれる。」
ガリウスと同じ所なら安心だ、今すぐにでも行って寝たい。
「ガリウス達は依頼達成の報告をしに冒険者組合に行くんですよね?俺も付いていこうかな。」
「冒険者になるなら次いでに来るか、ナズナさんがいるから大丈夫だとは思うが冒険者はいつ死んでもおかしくないから気をつけろよ。」
ガリウスの忠告を聞きながら俺は冒険者組合に付いて行った。
「冒険者登録ですね、銀貨2枚になります。冒険者の等級は駆け出しの銅、熟練者の銀、一流の金。その上の金剛がありますがこれは特例なので気にしないでください、各等級に5段階分けられており銅5級から始まり銅1級になりますと試験を受け銀5級に上がります。ここまでで何か質問はありますか?」
「金剛っていうのはなんですか?」
「金剛は金級の冒険者がチームないし徒党を組まないと達成出来ない依頼を1人で達成出来る方に与えられる称号で、受付条件が2人以上の依頼を1人でも受けられたり、街からの定期的収入を貰えたり様々な特典が付きます。この街には1人もいないので是非初めての金剛級冒険者になれるよう頑張ってくださいね。」
元気付けの冗談を言いながら明るい笑顔で受付嬢さんが説明してくれた。
「おーいマサル、俺達は報告終えたけどまだ時間かかりそうかー?」
「俺ももう終わってまーす!受付嬢さん説明ありがとうございましたー!」
受付嬢さんにお礼を言いガリウスと合流し何事もなく宿に向かった。
「はぁー!疲れた〜異世界の食事は美味しくないって小説のおきまりだったけど普通に美味しかったな。─にしても良い人達に出会えて良かったなぁ」
ガリウス達と食事をした後俺は一足先に部屋に戻らせてもらった。
「とりあえずお金の基準とか冒険者に必要な情報が欲しいけどナズナそういう魔法ない?」
《周辺探査スキルを使えばある程度の情報は得られると思います、スキルレベル9ともなれば魔力が続く限り【空間把握】が行えますので時間さえあればこの星全土の情報が得られます。》
マジかよ、ナズナさんガチでチートだな。
「じゃあ、とりあえずこの街を範囲としてあらゆる情報の収集をお願い。あと金策の情報を優先的に」
ガリウスにお金を返そうにも銅5級が受けられる依頼は小遣い程度だろう。なるべく借りは早く返したい
《了解しました、暫くお待ちください。》
そう言ってナズナが魔法を展開する、俺はその間に仮眠を取る事にした。
《優様、情報の収集・整理が完了しました。》
「はやっ!もう少しで寝れる所だったよ。」
大体約10分位でナズナさんは情報を集めきっていた、さすナさんだ。
「とりあえず聞きたいのはお金の基準と金策方法かな。」
《かしこまりました、まずお金についてですが、この世界では銅貨・銀貨・金貨の3種類が使われており例えるなら銅貨が100円、銀貨が1000円、金貨が100000円になっております。》
簡単で助かるな、でも金貨で10万円って大金を運ぶ時金貨が重くて大変なんじゃないのかな?
《次に金策方法ですが魔法道具を扱う店で魔水晶が高値で売買されており、私の持つ鉱石魔法と魔力を使えば纏まったお金を稼げるかと。》
魔水晶かぁ、魔法道具とか魔法使いの杖の媒体になるのかな?結構需要あるなら稼げそうだな。
「魔法で生み出した物質って消えないの?ていうかナズナの自動修復とか自動魔力回復の供給源なんなの?」
素朴な疑問とずっと気になってた謎を言ってみた。
《基本魔法で生み出した物質は魔力による疑似物質ですので時間が経てば消えますが通常の1000倍の魔力を消費すれば魔力で魔力を物質に変換する事が出来ます、この方法は魔力消費が莫大で並の魔法使いでは砂粒や石ころが限界だと思います。》
魔力で魔力を物質に変換したらそりゃ莫大な魔力必要になるよな、それで作れるのが石ころ程度ってそりゃ誰もやらないか。
《私の修復及び魔力の供給源ですが、これは一般的な方法ではなくカフ様による別宇宙にある膨大な魔力塊、宇宙のダークマターを次元を越えて供給させていただいてます。》
急にSFちっくになるじゃん…カフ宇宙にも手を出してんのかよ、そんな話もしてたっけ。
「それ俺も考えた事あるわ膨大な宇宙とか星から資源取れれば地球の資源問題解決するよなぁって。」
《流石でございます、なおそれを実行し星丸ごと1つを素材にした武具をカフ様は作っておられ、それを天体級と名付けておられます。》
星丸ごと1つって…僕の考えた最強の武器!を地でやっちゃってるカフさん化け物でしょ。
「じゃあ、とりあえず魔水晶を作るのをやってみよっか!俺でも出来る?」
《かしこまりました。では私を持ちながら水晶を想像してください。そして鉱石魔法を心の中か口で唱えてください。》
そっか詠唱は口に出さなくてもいいんだよな
(鉱石魔法!)
【水晶生成術式発動】
心の中で唱えると頭に水晶を作るのに必要な呪文が浮かぶ
ゆっくり時間がかかりながらも小さな水晶が出来ていく、とりあえずソフトボール位まで大きくするか。
「ナズナ、水晶をソフトボール位まで大きくしたいんだけどどれ位かかる?」
《約5分程度かと思われます。》
結構かかるんだなと思いどれ位魔力消費してるか確認するためナズナを鑑定する。
「ナズナ!?凄い速さで魔力数値が減ったり増えたりしてるけど大丈夫か!?」
1万もある魔力がとんでもない早さで減ったかと思えば同じ速さで回復している、多分魔力1万じゃ到底足りず随時魔力を供給してるんだろうな。
《問題あり、ありません、最低限でで、で魔力消費を止めて自動魔力回復(Ⅸ)で絶えっ絶えず供給していまますので…》
全然問題ありそう、ごめんナズナ…
少しバグってるナズナを心配しながら何とかソフトボール大の水晶を作ることが出来た。
「ここに魔力を入れたらいいんだな?どうやっていれるんだ?」
《私から水晶へ魔力が流れるのを想像してくだい、私が補助いたしますのでそれで流れると思います。目安は大体10万もあれば金貨100枚は固いと思います。》
「金貨100枚はヤバそうなので魔力1000位にするか、ちなみにこの水晶はどの位魔力入るんだ?」
《魔力産純水晶なので大体100万は入るかと》
「だったら勿体なさすぎるな…砕いて魔力が1000まで入る小さい水晶に出来る?」
《かしこまりました。
小指程度の小さい水晶が10個ほど欠けた
「この欠片達に魔力注げばいいのか?」
《左様でございます。》
俺はナズナから水晶へ魔力が流れるのを想像する
「うわぁ、魔力っぽいのが左腕から体を通って右腕に行く感覚がする…すげぇ…」
小学生並みの感想を言いながら俺は水晶に魔力を注いだ。
《優様、もう大丈夫です。魔水晶が完成致しました》
「へぇ〜透明だった水晶が紫がかってキラキラしてて、綺麗だなぁ」
正直売るのが勿体ないくらい綺麗な水晶が出来たが何時でも作れるので何とか収集欲を抑えた。
「よし、あと10個程作ったら寝るか!」
魔法を使う事自体が楽しく、半分遊びの様に魔水晶を作り、作業が終わると意識を失うかの様に眠ってしまった。
《おやすみなさいませ優様。
《どうか良い夢を。》
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