税の在り方について
刻堂元記
税の在り方について
生きていると、日々税金について考える。税への感謝の為ではない。税が悩みの種になっているからである。それ故に日頃から、節税思考が働く。その代表例がふるさと納税。寄付を行うことで返礼品が貰えたり、控除が受けられる、中々に便利でお得な制度なのだ。とはいえ、控除額には限度があるので、そこは考慮しておくべきかもしれない。
だがそんな節税思考も年々、意味を為さなくなっている。政府が様々な理由で、増税を推し進めるからである。しかし残念ながら、民意は充分に反映されない。選挙で当選した、それだけの人が集まり、反対を押し切って増税を実現する。それが根本的な原因になっているからに他ならない。
ではどうすれば良いのか。闇雲に減税を言った所で効果はない。届けたい相手を明確にし、粘り強く、論理的に主張し続けるのが重要である。
とはいえ、好ましくない手段を正義だと思う人間も、世の中には存在することを、つい先日改めて痛感した。それが納税ボイコット。いわゆる納税拒否である。当然、これは犯罪だ。たとえ、政治家が悪いことをしようと、税金が間違った使い方をされようと、税金を払わなくていい理由にはならない。
従って、私が支持するのはデモやSNSでの反応、選挙といった合法的且つ、広く認められている手段である。今の税制に問題があると感じる人ほど、これら手段を実行に移すことで、政治に影響を与えるべきだろう。
と、ここまで長く無駄な話が続いたが、これから先は税の在り方について、私なりの見解を展開していきたい。まず、私は皆さんの察する通り、減税派だ。これには何点かの理由がある。
まず始めに、租税支出透明性指数と呼ばれる指標において、日本が104位中94位というランキングになっている事実が挙げられる。つまり、税の透明性が担保されていない上、無駄な支出が多いという裏返し。改善を求めるのは当然の結果だと言われたとしても、文句は言えまい。
次に、国民の求めていない政策が、度々実行される事が理由として浮上する。当然、国にお金が本当に無いのならば、無駄な事業やバラマキは中止しようという動きが表立って見られる可能性が少なからずある。にも関わらず、国民の意見など介せず、強引に実行するのは、民意が何のために存在するのかを全く理解していない、何よりの証拠になると考える。
加えて、減税が持ち出されるたび、政治家などは時間がかかると言うが、増税時はそんなことを言わず、迅速に実行している事が背景にある。普通であれば、減税の時も増税の時も税率が変わるのだから、同じように時間がかかると答えるか、何も言わないのが現実的である。それなのに、減税の時にしか、時間がかかるという主張を展開しないのは、減税せず増税したいという思惑の表れに違いない。
つまるところ、税は現状、国民ではなく、政府のために。言い換えるなら、一部の政治家や官僚、業者の私腹を肥やす目的で存在していると批判されても、反論できない世の中になっているのだ。
しかし、誰も今の税制度が良いとは思っていない。意見は違えど、改善するべきと考えるのは、私たち国民の性だと断言しても良い気がする。
そこで提案したいのが、ふるさと納税ならぬプロジェクト納税。実施したい事業を、国や自治体が選定して公開し、それに納得・共感した人々が任意の額の税金を納めるというやり方だ。別名、クラウドファンディング型納税システム。使途を明らかにして、透明性を保障し安心して税金を払ってもらう。仮に目標金額に達さなければ、中止か縮小。中止の場合は納税額が返却され、別事業へと納税する運びになる。まさに、人々が欲しがる税の在り方のひとつ。
私はそのような結論を出したが、違う意見を持つ大人も多い。これを機に、税の在り方に関して、活発な意見交換を交わせれば、尚の事幸いと感じる。
税の在り方について 刻堂元記 @wolfstandard
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