第2通 手紙ありがとう(side紗雪)
手紙ありがとう。びっくりしたけど嬉しかった。手紙なんか書いたことないからうまく書けるかはわからないけど、できるだけ頑張って書いてみるね。
お母さんのことなんだけど、お父さんに絶対言うべきだと思う。
携帯電話は結構高いものだし、お母さんの調子も悪いし、ゆっくりでいいんじゃないかな?私のとこも弟妹多いのにシングルマザーだからさ、買ってと言いづらいのもあるから、花音が持ってても私が持ってない可能性もあるんだよね。だから私たちは文通でいったらいいんじゃないかな。
えーと、なんだっけ。高校か。まぁ、私は慣れたといえば慣れたけど、部活漬けだよ。部活の推薦で高校に来たからそりゃ部活を頑張らなきゃいけないんだけど、練習でクタクタになってバタンキューだよ。早く慣れないと私の成績が危ういかもしれない。なんて、ちょっと弱音を吐いてみたりして。
ちなみに友達はできてない。あんた、アドバイス求める相手間違えてるよ。私、女の子特有のドロドロした表裏が嫌いだからひとりでいるんだから。私といたのは花音だけ。そうでしょ?だから、友達作りは自力で頑張るんだよ。
花音は私と同じ大学に行きたいんだ。花音は将来何になりたいの?一緒の大学行けるは何になるかによるかな。まぁ、偉そうに言ったけど私に特になりたいものないんだ。見つけて行かなきゃね。大学行くなら奨学金も借りないと。
料理のコツはね、ちゃんとレシピ通りに作ることだよ。自己流を入れちゃだめ。そうすれば上手くいくよ。試してみてね。
手紙って返事で結構埋まるね。私が話したいこと、何かあるかな。いっぱいあるはずなのに文字にするのは案外難しいものだね。花音は遠距離恋愛を不安がるけど、不安なのは私も同じだよ。小さい頃からずっと一緒に育ってきて、私の気持ちも知らないで彼氏が出来たって花音は騒いで私は失恋して、でも悩んで悩んで悩みまくってそれでも大好きで大好きで諦めきれなくて、縁を切られる覚悟であんたに告白して、そこで初めてあんたも私に対する気持ちに自覚して……って、あー。そうよ。惚れた弱みよ。くりくりの目に小さい身体に髪の毛ふわふわで小動物みたいで、もーかわいいの権化でこっちのほうが変な虫がつかないか不安なんだから、花音は心配しなくていいの。大好き、花音。
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