心を紡ぎ、愛を結ぶ
雪花彩歌
第1通 ちゃんと届いたかな?(side花音)
おはよう?こんにちは?こんばんは?どれだろう?ま、どれでもいっか!お母さんに携帯電話を買ってもらうのを待ちきれなくて、早速手紙を書いちゃった。
そうそう、聞いて!先生、酷いんだよ!?手違いであたしの席がなかったの!ま、慌てて新しい机を出してくれたからピカピカの新品なわけで満足はしてるんだけどね。
勉強はね、なんとかひとりで頑張ってるよ。紗雪が基礎からみっちりやってくれたから、それが活きてるよ。まだ高校に入学したばかりだけど、目標があるんだよ?それはね、紗雪と同じ大学に行くこと!あ、紗雪絶対今笑ったでしょ?高校は違うところになっちゃったから、頑張って大学は一緒に行きたいんだ。紗雪がびっくりするくらい勉強頑張るんだから、見ててよね?だからね、一人暮らしの練習も兼ねて料理を始めたんだけど、料理って難しいね。ものすごくしょっぱい肉じゃがができちゃった。砂糖と塩を間違えたみたい。お母さんに出してみたんだけど不味すぎたせいか捨てられちゃった。ちょっと悲しかったけど、また頑張る!美味しくできたらきっと食べてくれると思うから。
お母さんね、最近元気がないんだ。暗い顔をして、ずっと寝てるの。声をかけても反応がなくて、ご飯もほとんど食べてないみたいなんだ。大丈夫かな?お母さん、死んじゃったりしないかな?あたしに何かできることはないかな?単身赴任のお父さんにやっぱり言うべきかな?
せっかくの手紙なのに暗い話しちゃってごめんね。あたしには紗雪しかいないから、吐き出すとこがなかったんだ。優しい紗雪に甘えちゃった。
あー、会いたいなぁ。紗雪の綺麗な顔が見たいなぁ。でも、東京は遠いね。高校生のお小遣いじゃ厳しいね。
ねぇ、紗雪。あたしたちは大丈夫だよね?遠距離恋愛になんか負けないよね?あたしたちの気持ちはそれくらいじゃ揺らぐものじゃないよね?
好きだよ、紗雪。
だから、あたしはいろんなことを頑張るよ。紗雪といる未来のために。
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