ジョーカー
僕は少女を自分の部屋へと招き入れた。
「何もないんだね」
嘲笑してくるかのような声で言ってくる。
正直うざいと思う。
「悪かったね、何もなくね。そういう君は豪華なのか?」
「あぁ、豪華だとも」
ふと疑問が浮かぶ。僕の部屋よりも豪華な部屋を与えられているのに本当に無一文なのだろうかと、そう疑問に思ったが先程の行動でかき消されてしまった。
「お互い自己紹介しない?」
「突然どうしたんだ?」
「偽名でも良いからさ、君とか呼ぶのは隔たりがある感じで嫌だしさ」
彼女のことにも一理ある。名前も知らずにこれから行動するには不便だ。偽名……か。
「僕の名前は……スセソルだ。」
「それ本名?」
明らかに分かっている顔で聞いてくる。悪戯好きなのか。
「私の名前はメントル」
メントル。スペイン語で助言者を意味する単語。あえてそれを選んだのか、それとも……。
「これからよろしく、メントル。」
「よろしくね、スセ君」
「スセ君?」
「略称だよ。スセソルは言いにくいからね」
まぁ良いか。さて、これからどうするべきか。手持ちは残り90万と得体の知れない少女一人。
……誰か殺すか?いや、現実的じゃない。
「ねぇー早くシないの?」
「は?お前は何言ってんだ?」
メントルはベッドに仰向けに倒れると両手を広げたまま動かない。
「あ、もしかして――」
「僕はお前とするつもりはないぞ」
「……なぁんだ。つまないの」
全く、この少女は何を考えているかまるでわからん。
「それともお前は僕としてほしいのか?」
「もう気分が冷めちゃった」
気分が、ねぇ。どうせ何か企んでるに決まっている。警戒しないと。
「ところでスセ君はなんで拳銃なんか胸のところに持ってるの?」
――ッ!なんで分かったんだ?
「どうしてそのことを?」
「その拳銃重すぎてスーツにしわが出来てるよ」
マジかよ。鏡で確認した時には大丈夫だろうと思ったんだが。
「君、面白いね」
くすくすと笑いながら見下している。
「そういえば聞きたかったんだがメントルは飛行船についてどこまで知っているんだ?」
「ぜんぶ」
はい?全部だと?
「教えてくれ。僕が知らない情報を」
「まず、この飛行船には暗黙の了解がある。1つはジョーカーに気をつけること、2つ目は死体を漁るな」
「ジョーカーに気をつけることってのは?」
「ジョーカーってのは毎回飛行船に乗る部屋無しの住人。関わって良いことが起きたことが無いから気をつけること。」
「死体を漁るなは?」
「死体を漁るなは死体が崩れて汚れるのを防ぐ為」
「……他には無いのか?」
「今教えられるのはこれくらいかなー」
今はね。あとで教えてくれることに賭けるか。
「すみませーん。ルームサービスです。」
メントルと話している時だった。突然ドアが叩く音と乗務員らしき声が聞こえてきた。
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