末と未来物語 第1巻現在編

@ANNAUUU

第1話 始「末」/予見された地獄、In Damnation(イン・ダムネーション)/最初からずっと一人

彼はこの世界に生まれた。いわゆる「人間」として、この美しい世界に生まれた。でも……


「僕は誰?」


「僕はなぜこの世界に存在するのか?」


「この世界にいる意味って、何?」


彼の名前は山田スエ。彼の出自は誰も知らない。山田海が夕暮れの街角で見つけた子供で、彼が最後に見つけた子供だったし、ちょうど黄昏だったから、「スエ」と名付けられたんだ。


彼は山田スエ。幼い頃から性格が人見知りで、この華やかな世界に全然感動しなかった。彼の目には、この世界は他人が言う世界とは全然違った。学校ではいつも「変人」扱いされて、家でも兄弟姉妹には好かれない。山田海だけがたまに彼のことを気にかけてくれた。もしかしたら、彼の世界には本当に彼一人しかいなかったのかもしれない(彼自身はそう思ってた)。


彼は本当に他の人とは違うのかもしれない。彼は病気を感じることなんてなかったし、病気は彼とは全然関係なかった。10歳のとき、彼は急性心臓病と診断された。本来はもう治らない病気だったのに、1か月後の検査で彼は意識を失った。医者は「病気が悪化したのかも」と言ったけど、彼が目を覚ますと、その急性心臓病は消えていた。医者もその奇跡的な理由を説明することができなくて、ただ「根拠のない奇跡」って認めるしかなかった。彼は、本当に普通の人間とは違っていた。


彼が記憶がある限り、彼は「感情」というものを感じたことがなかった。彼はまるでロボットのように十数年間生きてきた。でも、彼は今でもそれを理解することができない。彼はいつも無表情で、目は空虚で、他の人とは全然違う。不思議なことに、彼は一人だったにもかかわらず、彼の成績はいつも一定だった。彼は小さい頃から大人になるまで、試験の点数は決まっていた。


彼には「友達」というものがない。かつては彼と友達になりたいと思っていた人もいたけど、彼の人見知りな性格のせいで、最後には彼の友達になることを諦めてしまった。彼はロボットのような心を持っていて、彼はその後、クラスの隅で忘れ去られてしまって、まるで空気のように……


「……いらない……」


「それは何なんだ……」


以前の交通事故のことを思い出した……


「僕はなぜ……」


「泣くって何で、笑うって何なんだ?」


彼はいつも自分にそう尋ねた。他人が言う「普通」のことが、一体何なのか。


「存在する必要のないものはしもべに必要とされたことがない」(彼はこの言葉をまとめた)


「これらがないにもかかわらず…僕同じように生きているじゃないですか……」


これらを持つ意味が何なのか、彼は知らなかったし、知りたいとも思わなかった。ただ、他の人間が持っているのに、俺は持たなくても、生きているんだから……


彼は一生このまま生きていくと思っていた。でも、最近起きた奇妙な現象が彼を恐ろしくさせた。


彼は予見した……


無人の地球……無限に上昇する空気……真っ赤な空……黒い雲……巨大な赤い満月……地中から空に突き刺さる黒い山……


ゴロゴロ——!


息苦しさと孤独感が、血の匂いが漂う半空に満ちている。万籁俱寂の最中、天地が崩れ、地面が遠くから四方に裂けていく。巨大な地割れから、沸騰しているような不気味な血液が流れ出る。


万物が崩壊する中、血海から数え切れないほど奇妙な生物が浮かび上がる。彼らは顔に牙を生やし、全身真っ黒で、絶叫しながら、無数の割れ目から這い出てくる。


(奇妙で騒がしい絶叫)


彼らは人間とは異なる興奮を持って、四方八方から押し寄せてくる。周囲の血塗れの惨憺たる光景は瞬時に闇に包まれ、彼らの絶叫も遠ざかっていった。


(巨大な真っ黒な心臓が自分を包む)


彼は自分がどこにいるのかわからない。周りには彼と闇しかない。彼は声を上げるけど、自分の声が聞こえない。彼は生まれて初めて、恐ろしいと感じた。


「これが恐ろしいってやつなのか……」

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