どうやら俺は催眠アプリを使ってヤンチャしていたようである(記憶無し)
助部紫葉
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俺の名前は佐原実流太(さはらみるた)。
どこにでも居る平々凡々な高校生だったのだが⋯⋯。
催眠アプリ、って知ってる?
スマホのアプリなんだけど。
起動して画面を相手に見せると、その相手を催眠状態に堕として、なんでも自分の好きに従わせることが出来るヤバいブツ。
到底現実では有り得ないような創作物に登場する代物だ。
そんな催眠アプリを俺は手に入れてしまった!
これは使うしかねぇよなぁ!
コイツがアレばなんだって出来る⋯⋯そう!こんな俺でも彼女とか作れるハズ!さらにさらに彼女が出来たら、あんなスケベな事や、こんなスケベな事も出来ちゃったりして⋯⋯ぐへへっ。
となるとこの催眠アプリを誰に使うかだよなぁ。
誰にしようか⋯⋯。
そうだな⋯⋯やっぱりクラスメイトの西原咲子(にしはらさきこ)かな。
西原は俺のクラスで委員長を務める女子生徒だ。性格は真面目で、真面目過ぎて融通が効かないお堅い女。
やっぱり催眠アプリを使うならそういう相手だよなぁ?
くっ殺女騎士モノが大好物の俺としては、西原は正に現代の女騎士と言ってもいい。そんなヤツを催眠アプリで言いなりにして、あんなスケベな事やこんなスケベな事を⋯⋯ゴクリ。
妄想しただけで滾ってくるぜ!
待ってろよ西原ァ⋯⋯オマエは明日から俺の彼女ーーいや肉奴隷にしてやるぜッ!この催眠アプリを使ってなぁ!
ーー翌日⋯⋯。
俺はトイレの個室に篭り、1人で頭を抱えていた。
「女の子に話しかけるの⋯⋯怖いよぉ⋯⋯」
ヘタレである。うん。知ってた。
女の子に話しかけるのって怖くない?それがあの堅物の西原なら尚更ハードルが高い。高すぎる。普通に会話するだけでもドモりまくる俺には無茶な話だぜ⋯⋯。
催眠アプリ持っててもねぇ。そもそも使うにしたって一旦女の子に話しかけなきゃならないでしょう?
ムズいって。
催眠アプリ⋯⋯宝の持ち腐れ。
あー⋯⋯そろそろ授業始まるわ。教室戻んねぇと。
個室から出て手を洗う。
鏡に映る冴えない男子生徒。このヘタレがよ。
ふとそこで閃いた。
催眠アプリ⋯⋯自分に使えばいいんじゃね?
その手があった。天才かよ。鏡を使って自分自身に催眠をかければ、催眠パワーでなんでも出来るんじゃないか?
へタレて女の子に話しかけられないのなら、催眠アプリで自分を催眠して女の子に話しかけろと命令すればいいんだ!これは世紀の大発見。
出来るかどうか分からないが、試してみる価値はある!
催眠アプリ起動!
スマホの画面を鏡に映る自分に向けて俺は命じる。
「オマエはこれから⋯⋯えっと、女の子に話しかけろ?いや、なんかこれだけだと弱いな⋯⋯せや!佐原実流太!オマエはこれから西原を自分の彼女にしろ!」
そうして俺は自分自身に催眠アプリを使用しーー。
ーーそこで俺の意識は途絶えた⋯⋯。
◇
目を覚ますと俺の全身に柔らかい何かが絡みついている感触があった。すっごいぷにぷにモチモチスベスベで気持ちいいのだが⋯⋯身動きが取れない。
⋯⋯なんだこれ?
目を開ける。見知った天井だ。俺の部屋だな。
視線を動かす。
まずは自分の腹の上。
見ず知らずの裸の女の子が俺に乗っかってスヤスヤと寝息をたてている。
⋯⋯⋯⋯。
首を動かし右を見る。
俺の右腕を枕にして見ず知らずの裸の女の子がスヤスヤと寝息をたてている。
⋯⋯⋯⋯。
今度は左を見てみる。
俺の左腕を枕にして見ず知らずの裸の女の子がスヤスヤと寝息をたてている。
⋯⋯⋯⋯。
見知らぬ裸の女の子×3が俺に絡みついて寝ている。
対する俺もおそらく服を着ていない。服どころか下着の感触もないのでおそらくスッポンポンだ。
つまり現状は俺の部屋の、俺のベットの上で、裸の俺と、裸の見ず知らずの女の子達が、みんな一緒になって寝ている⋯⋯。
何を言ってるのかさっぱり分からないと思うが、俺も自分の身に何があったのかはさっぱり分からない。
何がどうしたらこんなことになるって言うんだッー!
思い返せ⋯⋯俺はナニをしていたのかを⋯⋯。
確か俺はトイレの鏡を利用して自分自身に催眠アプリを使用した。
そして、そこからの記憶がまるで無い。
パッタリと気絶して意識が途切れ、目を覚ましたらこんな状況⋯⋯みたいな感じだ。
分からん。何も分からない。
それでどうしてこんなことになるのかが、まるで分からない⋯⋯!
状況を鑑みるに俺とこの女の子達がやんごとなき関係性であるのは間違いないであろう。
しかし、どの子もまるで見覚えが無い!まったく知らない人なんですけど!?
つーか、今更だけど俺の愚息が朝の生理現象やら、女の子の地肌の感触とか、女の子の匂いやらで凄いことになってるでござる。
ヤバいよぉ。これどうしよ⋯⋯不味いよ。こんな状態になってるの見られた日にゃ、女の子達にきっとゴミを見るような目で見られることになるんだ!
でも女の子達に抱きつかれてて身動きがまるで取れずに逃げ出すことが出来ない!くっ!なんとか!なんとかしねぇと!
「ふふっ⋯⋯」
「ーーーーッ!? 」
笑い声⋯⋯?
はっ!まさか女の子の誰かが起きてしまったのか !?
「まったくご主人様は朝からお元気ですね」
その声は俺の腹の上から聞こえた。
ご、ご主人様⋯⋯?えっ、なにそれ誰のこと言ってんの?
さわりさわり⋯⋯。
「ーーッ!?!!!?」
「ご主人様の、ご主人様⋯⋯私が納めて差し上げますね⋯⋯♡」
アッーーーーー!!!!
どうやら俺は催眠アプリを使ってヤンチャしていたようである(記憶無し) 助部紫葉 @toreniku
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