第5話  マイ

ミズホにラインした。

スノーから王子と婚約するから、サプライズパーティを企画して欲しい。

といわれていると。

あたしのために怒ってくれたミズホが、とにかく会おう。

と云ってくれた。


「忙しかったんじゃない?今日はごめんね。ミズホ」

「ううん。大丈夫だよ。

それより何食べる?」

「ちょっと飲みたい気分でさ。

居酒屋でもいい?」

「いいよ。行こう」

大学の入試試験の帰り道、たまたま同じ電車の車両だったミズホと目が合い、どちらからともなく話しかけた。

『みんな合格できたら良いね。』

と笑って別れて、入学式で再開した時からずっと親友だ。


駅から近い個室のあるチェーン店を選び席につく。

お互い好きな飲み物を頼み、から揚げやサラダなど定番の物を適当にオーダーする。

「こないだラインしてきた性悪女のことだけどさ」

ミズホは、マイが彼氏を盗られたちょっと前からスノーのことを性悪女と呼んでいた。

「あ、あれね。

もちろん断ろうって思ってたんだけど、ユウマ君が引き受けてくれるらしいんだ」

「えっ?

あのままじゃ終わらないって思ってたけどそうなっちゃったんだ」

「あたし、開催されても行かなくていいよね」

「当然じゃん。

私も教えてもらった時、行かない。

って即答したでしょ。

でも、マイが事情を知らない人とかから幹事押し付けられちゃったら・・心配だし

そん時は、行かなきゃいけないかな?

って思ってたんだ」

「ありがとう。ミズホ」

「でもさ、まさか我らの王子さまがあんな女の毒牙にかかるはずないよね」

「どんな手使ったんだろうね?」

「マイの時はさ、まず私達に占星術で占ってあげるとか言ってきてね」

「そうそう、あの頃は、まだスノーの本質を知らなかったから占ってもらったんだよね」

「そしたら、私とマイの彼氏の相性が良いとか言い出してね」

「正直、あれは、びっくりした。

それでミズホが怒ってくれたんだよね。

『マイの彼氏と私の相性なんか占わなくていい』って」

持ってた緑茶ハイをグッと飲み込むと

「そしたら、『どうして?友達なんだから良いじゃない』

っていわれて、頭パンクしそうだった。

あの瞬間こいつとは距離置こう。

って思ったんだよ」

とミズホの声が荒くなる。

「だったよね。

それで、あたし達の仲が裂けない。

って解って、元カレにあたし達からいじめられてるって相談しにいったんだよね」

「ねえ、もしかして今回も似たようなことしてんじゃない?

ナナノ先輩とリーダーの一件もあるし」

二人は、大きく目を開けて次の言葉を考えた。

最初に口を開いたのは、ミズホだった。

「私達は、もうちょっと事実確認をしてから、なんか違うサプライズを企画しない?」






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