第2話 ナナノ

マイからラインがあった。

王子と婚約することにしたから大学のサークル仲間で婚約パーティを企画してほしい。

とスノーから頼まれたという。

正直驚いた。

なぜそんなことになっているのか詳しく聞きたかったが、文字を残して後でむしかえされるのは、いやなのでマイに直接電話した。

「久しぶり。

連絡ありがとう」

「なんか、先輩にこんなライン送るの嫌だったんですけど」

「もう卒業したんだから、先輩はやめてよ」

「えっと。じゃナナノさん」

「ふふ」

「ラインの件なんですけど、普通こういうのって、知らされた仲の良い友人達から持ち上がると思うんです。

なのにスノーったら勝手に友達ならやってくれるでしょ?

スタンスなんですよ」

「スノーらしいじゃない」

「たいして仲良くもなかったのに。

絶対私達が王子に憧れてたことも知っててわざとですよ。

しかも昔彼氏を盗られたあたしに幹事しろって」

「嫌な思い出だよね。

大丈夫?」

ため息まじりに答える

「彼氏に関しては、今の彼氏の方が断然いいんで。

むしろ感謝ですよ。

あいつ結局あたしの彼氏っていうステータスしかなかったから、あの後すぐにスノーに捨てられて『より戻してくれ』ってきて」

「それで?」

「こっぴどく振ってやりました」

「ちょっとすっきりした?」

「まぁちょっとだけ」

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