タイムトラベル⑪(ロシア編1)
進藤 進
第1話 乾草の匂いが
ガラリと開けた。
軍用列車の扉。
干し草が埋もれている。
冷たい車内に。
俺は。
身をもたれさせた。
戦場での手柄から。
軍からもらった、つかの間の休暇。
たったの。
六日間だけだったけど。
故郷で待つ。
母に会うには十分な時間だったのです。
過酷な労働と。
貧しい生活で。
父は死に。
母も年老いていた。
だから。
今度が最後かもしれない。
母に会いたい。
その想いで。
俺は休暇の全てを帰郷に費やしたのだ。
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