私を見て

彩雲(あやも)

第1話

クラスのあの子はいつも可愛くて、女の子からも人気だ。

サッカー部の彼は毎試合黄色い歓声を浴びていて、同じ部活の人からも人気のエースだ。

じゃあどうして、私はこんなにも除け者にされるのか。

私だって可愛くなるために努力している。

私だって真剣に部活に取り組んでいる。

答えは除け者にする人にしか分からない。


こんな私は、家でも空気みたいな扱いだった。

「行ってきます」にも「行ってらっしゃい」が返ってきたことは無いし、

「ただいま」にも「おかえり」が返ってきたことは無い。

実は私は、生きているつもりの″おばけ″なのかもしれない。

だって、こんなにも私を認識してくれない。

たった一人でいいから、私が誰かの脳内に残れたらどれだけ幸せだろうか。

誰も気づいてくれないから、今日も心の悲鳴を赤い線に変える。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る