いろいろな物語🔴
@wanwanwan123
第1話 不良
町の喧騒を背に、グループの一行はいつもの場所、荒れた公園で集まっていた。彼女たちの笑い声が風に乗って響く中、まるで予感がしていたかのように、突然、近くの道から不穏な足音が近づいてきた。
「ねぇ、あれって…」と、いつも冷静なユウが、先に気づいて目を向けた。
「となり町の連中だね。」リカが眉をひそめ、手に持っていたタバコを投げ捨てる。
「見たことある顔がいるな…」ミカが少し警戒しながら呟く。彼女たちの町に何度も顔を出していた、となり町の不良グループのメンバーだ。
敵対しているわけではなかったが、お互いに微妙な空気を持ったまま、何度も顔を合わせることがあった。今日こそは何かが起こるかもしれない、そんな予感を抱えたまま、彼女たちは立ち上がった。
「どーする?」リカが尋ねると、ユウがすっと前に出て、静かな声で言った。「放っておけばいい。やる気なら、やり返すだけ。」
彼女の言葉に、他のメンバーたちも黙って頷いた。すぐに、となり町のグループが公園の入り口に現れた。リーダーらしき男が、にやりと笑いながらこちらを見つめている。
「よぉ、こっちの町の不良たち。」男が軽く手を振ると、後ろにいる仲間たちがうるさい音を立てながら近づいてくる。
「何だ、またお前らか。」ユウは冷たく言い返す。ミカも、リカもその横で姿勢を正した。全員が普段とは違う、鋭い目つきで対峙していた。
「お前ら、最近調子乗ってるらしいな。」リーダーが言葉を続ける。
ユウは無言で前に進み出ると、すぐに立ち止まり、睨みつける。「調子乗ってるのはお前だろ。ここは俺たちの町だ。」
その言葉に、空気が張り詰める。仲間たちが息を呑んで見守る中、リーダーが肩をすくめて言った。「悪いが、今日はここを通らせてもらう。文句があるなら、さっさと行動で示せ。」
「それならやってみろよ。」リカがにらみを効かせながら挑発する。
しばらくの沈黙が続いた。誰かが先に手を出すのを待つように、両グループの視線が交錯する。その瞬間、ユウが一歩踏み出し、「行くぞ。」と一言。彼女の声と同時に、両グループは一気に動き出した。
やはり、不良には身体を張る場面があるものだ。痛みを知っているはずなのに……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます