第6話
「ただいま」
体育祭でヘトヘトになった身体を休ませようとソファに腰を落とした。
休ませてもらえる訳なく…
「桜花!やばいやばいどうしよ…」
私の2番目の兄、京太郎兄ちゃんが階段から駆け降りてくる。
京太郎兄ちゃんの手には長男、那偉人(ナイト)兄ちゃんの大切にしているCDが真っ二つに割れている。
「ちょっ、えっ、壊した?」
京太郎兄ちゃんが何か壊すのはいつものことだけど、さすがに那偉人兄ちゃんのものとなると…。
「どうしよ…」
「京太郎兄ちゃん、私はどうにも出来ない。ちゃんと謝りな…」
ガチャッ
私が話していると玄関が開いた。きっと那偉人兄ちゃんが帰って来たんだろう。私は何も言わず京太郎兄ちゃんの肩を叩いた。
「桜花、帰って来たのか」
「那偉人兄ちゃん、私じゃなくて京太郎兄ちゃんを
見て」
那偉人兄ちゃんは自分のCDを見ると、静かに口を開いた。
「それ、何円したか分かるか」
「友達に見せたくて。その後、バレーしたときに…」
「家でバレーしたの!?」
「う…」
「俺は言い訳を聞いてるんじゃない」
「ごめんなさい!もうしません!!!」
那偉人兄ちゃんの好きなプーさんのぬいぐるみを買うという理由で丸く収まり、私はソファで那偉人兄ちゃんがヨーグルトを食べただの、食べてないだの兄たちの口喧嘩を聞きながら寝てしまった。
体育祭でヘトヘトになった身体は十分良くなった。
けれど、寝坊したから遅刻しそうでピンチ!
ダッダッダッ
鐘鳴る前に教室入らないと!
そんなことを考えて、角を曲がると…
ドンッ
「ごめん、大丈夫?」
マンガのようなシーンでイケメンとぶつかった。
イケメンは尻もちをついたけど、私は京太郎兄ちゃんに教えてもらった後ろ受け身で平気だった。手は痛かったけど。
「こちらこそ、ごめんなさい」
キーンコーンカーンコーン
私の言葉と共に鐘が鳴った。
「まだ、間に合うから!遅刻しないでね!」
そう言って、走っていった。
イケメンだったけど、やっぱり湊人の方がイケメン
だな…
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