控えめで無口で心を胸に秘めるタイプの女性を想像しました。
静かに受け入れている。
世相も夫の不在も、日々も。
けれど夫の生死は諦めていない。心に降り積もるものはあるけれど。
そこにするりと入り込んできた、影。
透明感を感じる物語なのは、語り手が感情に蓋をして自分を希薄にしてしまっているからでは?
そして影の存在する世界に近づいていってしまったから影が見えたのでは?
家を磨くごとに、不安や余計な思いを削ぎ落とし、磨きすぎて心の磨耗すら起こしていたのでは?
なんて余計なもののない抑えた筆致なので、色々考察や想像したくなるかも。
あの時代なら陰膳やってたのかな、それとも食糧不足で無理だったのかなあとか。
最後の玄関が、光が射すようなラストで安心。
余計なものの入り込まないきちんとした現実に帰る扉にも見えました。