夕日の沈むまで

「俺お前のこと気になってるかも」

とある日の放課後名前もよく覚えていない異性に呼び出され、そう言われた。

恋愛に心の底から興味がない。しかも、気になってる”かも”なんていう曖昧な表現なのがすごく気に食わない。気持ち悪いとまで思う。

昔はこんなふうに思っていなかった。小学生の頃は好きな異性がいたし、付き合えたら、なんて夢見てた時もあった。

今はそう思えない。どうしても異性が気持ち悪いと思ってしまう。例え、相手のことを私が友達だと認識していたとしてもいつかその関係は崩れるのだ。それがどこか虚しく、気持ち悪い。

黒髪。肌は白くて細身でキリッとしながらも大きめの目。身長が高くて、みかはまさに私の思い描いたような人。

初めて話したのは高校初めての部活だった。なんとなくで入った華道部には同い年は私とみかだけだった。定期的に行われる発表で着物を着たみかは美しくて綺麗だった。

みかの性格はというとこれまた大雑把で宿題はまともにやらないし、授業はほとんど寝ているし、部活にもまともに参加しているわけではなかった。人の話もおそらく半分は聞き流しているようだったし、返答も適当だった。

でもたまに私の欲しい言葉をくれたりした時、なにか私の中のなにかが変わった気がして、それを言葉にして表すのが怖かった。

少しは自覚していた。他の同性とは何かが違うのだと。