第34話 謎の借金は真実まで災厄
幸い、って言っていいのか、それとも言葉をたくさん使って説明したからか、私が魔法のカードを手に持って壁に近付いて行ったら、慌ててあの、人の形をしてるってだけの何かが、光る魔法陣を出していた。やっぱりこう、力づくで壊すのはダメらしい。
ついでに、言葉が一方通行でも通じるようになったのなら、と、何でそんな1つも合ってない服の着方してるの? って聞いたら、これも分かってなかったらしい。下着まで含めた同じ服と、ふわふわ浮いてるマネキンが出てきた。
……下着はギラギラ光るような柄物だったし、シャツとかタイツとか靴とかが男女ごちゃごちゃになってたから、それをまず整理して、下着はこの服に合わせるならもっとシンプルなものにした方がいいって言って、支部長の着付け教室で聞いた通りにマネキンにスーツを着せた。
「逆」
「
「
「おかめは女の人モチーフ。ひょっとこは男の人モチーフ。その服は男女で違いがある奴。男女が逆」
「
「
マネキンが光って消えたら、お面をかぶってた全身白タイツマネキンがちゃんとした格好になってたんだけど……お面と服の組み合わせが逆だったから、それも指摘した。怒ってはいなかったみたいだから、もういいや。
体力も気力も限界で、はっきり言って外じゃなくて安全地帯に入って寝たかったんだけど、光る魔法陣に乗って、たぶん転移した先は、ダンジョンの外だった。……時計を見て分かってたけど、夜の11時だから、真っ暗だ。
そういえば、外に出たんだから、腕輪のあれこれが使える筈。と思って、まず今どこにいるかを調べる為に、地図をアプリで開いた。
「んえ」
まぁ、開こうとしたら、暫定保護者の支部長から電話がかかって来た表示が出て、他の操作が出来なくなったんだけど。困った。現在位置が分からないままだし、そもそもいま私は疲れ切ってて眠い。
でも、支部長からしてみれば、出張から戻ってみれば私が行方不明になってる。しかも謎の大量の借金を作って。連絡もつかないしGPSも働かない。そういう状態だったんだろうから、電話をかけまくるのは、それは、そう。
「もしもし」
『
「疲れて、眠い」
『今どこだ!?』
「ダンジョンの入口」
『どこのダンジョンだ!? 言っておくが借金返済用のダンジョンなんかないからな!』
「え、無いの?」
『ない! 詐欺だ! 全員血祭りにあげた後で骨の髄まで搾り取ったがお前が行方不明だった!』
「わぁ……」
支部長は、その、まぁ……元々、子供が好きな人だったらしいんだけど。私と同じく、周りの人が全員、ダンジョンに呑まれてて。同じ境遇の私を、それはまぁ可愛がってくれてるというか、過保護寸前ぐらいに色々してくれる。
まぁでもたぶん、私は「代わり」なんだと思う。私自身を見てないって訳じゃないんだけど、呑まれていなくなった人達がいたところに穴が開いてて、私でそれを蓋してると言うか。……まぁ、それは若干、私もそうだから、お互い様だ。
だから、そんな私がいなくなったら……蓋してた穴が、開く。家族とか、友達とかがいなくなった時の事が、一気に頭の中にあふれて、他の事が考えられなくなる。必死になるのは、それはそう。
「えっとね、支部長」
『おう、なんだ』
「外に出たし、電話出れたから、支部長の方からGPSで探した方が早いと思う」
『……。それはそうだな。すぐ迎えに行く!』
まぁ、だから。見つかって、無事、っていうのが分かれば、行動は早いし。支部長も、いい加減強い探索者だから、なんなら、転移まで使ってでも迎えに来てくれるのは、間違いないんだ。
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